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地デジ普及へ対策急務地上デジタル放送への完全移行まであと1年となった24日、石川県珠洲市などで全国に先駆けて、アナログ放送が終了した。 地デジ受信機の世帯普及率は83・8%(3月時点)と国の目標をかろうじて上回るが、地デジに対応していない世帯数は1000万近く残っており、総務省は普及対策を強化する必要に迫られている。 モデル地区、早くも完全移行石川県珠洲市と隣接する能登町の一部(計8800世帯)では24日正午、アジアで初めてアナログ放送が終了した。珠洲地区は、能登半島の先端にあり、終了しても他の自治体への影響が少ないことなどから先行モデル地区に選ばれた。 同市で行われた記念式典では正午に、NHKと民放各局を映したアナログテレビの画面から番組が消えた。総務省北陸総合通信局幹部は、「地元をよく知る電器店の協力を得られたのが大きい。全国で応用できる“珠洲モデル”だ」と胸を張った。 総務省はチューナー希望者に1世帯あたり4台まで無償貸与し、チューナー設置にあたっては、地元電器店15店に100〜200軒ずつローラー作戦で戸別訪問してもらい完全移行を達成した。投じた予算は約1億8000万円に上る。 ただ、高齢者が多い珠洲地区では、同市飯田町の自営業、浜田照子さん(73)のように、「チューナーを取り付けたが、地デジが受信できず、アンテナの調整などで数万円かかった」といった不満の声も聞かれた。 このため、珠洲地区のケースでは、地元自治体の取り組みも重要だった。地域ごとに職員が訪れて説明会を何度も繰り返したり、自宅に直接訪れて地デジ対応を急ぐように説得して回ったりした。前田保夫・同市総務課係長は、「(完全移行に向けて)高齢者への対応が大きな課題になるが、ほかの自治体は、自分たちの仕事とは思っていないだろう」と懸念する。完全移行に向けて、珠洲地区を視察に訪れた自治体は一か所もないという。(金沢支局 森重達裕、鶴田裕介、文化部 井上晋治) アンテナ工事集中も1年後の完全移行に向けては直前にアンテナ工事を申し込むケースが続出し、電器店が対応できなくなる可能性も指摘されている。 東京都文京区の電気通信工事会社「受信サービス」は今春から会社のホームページのアクセス数が6倍に急増。電話も鳴り続けている。連日、14人の作業員が朝から晩までデジタル電波を受信できるか調べ、アンテナを交換するが、集合住宅なら1日に1〜2棟の工事が限界という。特に、関東地区は、地デジ未対応の集合住宅48万5000棟のうち41万棟が集中しており、松尾建治社長(68)は「これ以上、仕事が集中したら対応は難しい」と打ち明ける。 予定通りに地デジの普及が進まず、アナログ放送の停止時期を延期した場合、地デジ対応に「総額1兆円規模」(総務省)の設備投資を進めてきた民放業界は、特に地方テレビ局の経営への影響を懸念する。 仮に延期された場合、テレビ局は、アナログ放送と地デジの両方を送信し続ける必要があり、「ランニングコストだけでも年5000万〜6000万円の負担になる」(地方放送局幹部)ため、一段と収益が圧迫される。また、アナログ放送用の機器は既に製造が終了しており、故障しても更新できない問題も生じるという。(文化部 笹島拓哉) 都市部は普及に遅れ完全移行に向けて普及率アップのカギを握るのが、都市部のビル陰などで地デジを受信しにくい世帯への対応だ。受信障害を解消するために、周囲のビルオーナーが設置したアンテナ(共聴施設)を利用する約650万世帯のうち、地デジに対応している世帯数はほぼ半分に過ぎないからだ。 埼玉県の一戸建てに住む無職の男性(83)は、ビル陰に住んでいるため、近隣のビルオーナーが共同で設置した共聴施設を使ってテレビを見ていたが、デジタル対応はしてくれないため、約20万円でアンテナを建てた。だが、別の建物が原因とみられる受信障害で映像が止まってしまうため、総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)からケーブルテレビへの加入を勧められた。 共聴施設の管理者が地デジ対応に難色を示すケースは、普及率が伸び悩む原因になっている。 このため、国はデジタル化の助成制度を整備しているが、利用は低調で、総務省は7月末の申請期限の延期を検討している。 一方、マンションやアパートの集合住宅は、77%が対応済みだが、南関東の各都県の集合住宅はVHFアンテナをUHFアンテナに付け替える必要があるため、40〜50%台と極端に低い。アンテナ設置費用をめぐり、入居者とオーナーがもめるケースもある。こちらにも助成制度があるが、利用促進に向けて、総務省は対策を強化する必要がある。(経済部 川嶋路大)
(2010年7月27日 読売新聞)
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