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警察ファイル流出でネット騒然

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 暴力団組長と有名タレントの交際を記した警察ファイルがインターネット上に流れている。警視庁北沢署の巡査長による、Winny暴露ウイルスでのファイル流出は、内容があまりにセンセーショナルであるために、ネット上で大騒ぎだ。(テクニカルライター・三上洋)

有名タレントの名前も登場

 今回流出したファイルは約1万700件で、容量にして約1.2ギガバイト分、CD-ROM2枚前後にもなる大量のものだ。元のデータを持っていたと思われる人物が警視庁組織犯罪対策1課にいたこともあってか、暴力団関係の調査資料が多数含まれている。

 一部の文字にモザイクをかけているが、ファイル名(上画像)を見ていくだけでも、「○○組資料¥○○組関係者名簿.xls」「○○組フロント関係者.xls」「被疑者供述調書」「押収品目録」などといった捜査関係書類が並んでいる。また暴力団関係者の監視ビデオの画像と思われるもの、Nシステムの設置場所一覧、少年事件や痴漢事件などの調書なども含まれている。

 2ちゃんねるをはじめとしたネットの掲示板で騒がれているのは、暴力団の関係者リストの中に、中堅女性タレントやスポーツ関係者の名前が出ているからだ。住所や電話番号まで出ており、今までにない深刻な流出と言えるだろう。これが事実かどうかはわからないが、警察からの流出によるものだけに信じてしまう人もいるかもしれない。

同僚のハードディスクのコピーが原因

 今回の流出元となったのは警視庁北沢署地域課の巡査長だが、この巡査長は同僚の巡査部長のハードディスクを借りてコピーした、と報道されている。流出した警察関係のファイルは、この同僚のハードディスクにあったもののようだ。

 流出データには、Winnyからダウンロードしたと思われるファイルの痕跡が残っている。それを見るとアダルトビデオやアニメ、音楽CDなどのファイルを再生している。流れとしては

・同僚からハードディスクを借りる

・自宅のパソコンに警察関係ファイルをコピー

・そのパソコンでWinnyを使ってビデオやアニメなどをダウンロード

・暴露ウイルスに感染してファイルが流出

こんな推移ではないかと想像できる。

 推定ではあるが、警察で使う書類のひな型が欲しくてコピーしたのではないだろうか。警察では、調書や捜査報告書など大量の書類作成が必要であり、そのために元となるフォーマットの文書が欲しくて同僚からハードディスクを借りた可能性がある。このようにWinny暴露ウイルスでのファイル流出では、ハードディスクやUSBメモリーなどの貸し借りからファイルが流出する場合もあるのだ。

Winny流出には3つのパターンがある

 Winnyなど暴露ウイルスでの流出原因はどこにあるのだろうか。最近の事件を整理すると、原因は主に3つのパターンに分けられる。


図=成田明也

 まず目立つのは、仕事で私物パソコンを使っていたパターンだ。今回の北沢署の流出事件でもそうだが、警察関係書類が入ったハードディスクを自宅のパソコンに持ち帰って開いている。警察庁では私物パソコンでもWinnyを使わないように通達を出しているが、それが守られていなかった。書類作成の多い警察では、自宅に仕事を持ち帰りたくなる心情も理解できるが、今回のような流出が起きてしまったのでは言語道断である。

 次はデータを保存していたハードディスクを再利用した、または古いパソコンを子供に譲ったというパターン。ハードディスクやパソコン本体の再利用が流出の原因だ。今回の北沢署の流出でも、同僚から借りているハードディスクが原因となった。

 愛知県警からの流出では、捜査関係資料を保存したパソコンを子供に譲ったことが原因となっている。ファイルを消したつもりが、ワープロソフトのバックアップファイルが残っていたために、Winnyネットワーク上に捜査関係資料が流れてしまった。

 もう1つ、委託先企業からの流出するパターンもある。秋田県北秋田市など4つの公共団体が被害にあった例では、システム統合を大手企業に委託したが、大手企業は別の企業に再委託し、そこで流出してしまっている。つまり孫請け業者が原因だった。こうなると元の公共団体はお手上げ状態。責任を負うべきは企業側だと言えるだろう。

メディアの貸し借りは厳禁。中古パソコンは物理破壊せよ

 これらの原因を元に対策を改めて考えておこう。企業からの情報流出だけでなく、Winnyによる個人情報流出も増えているから、個人ユーザーにも関係のある話だ。


図=成田明也

1:ファイル共有ソフトを使わない

 当たり前の話だが、ファイル共有ソフトを使わないことが第一の対策。後述するがWinny以外のファイル共有ソフトも危険である。

2:ウイルス対策ソフトを導入する

 ウイルス対策ソフト(アンチウイルスソフト)を導入し、更新料を毎年払ってウイルス判別用の最新パターンファイルを入れる。ただし暴露ウイルスの一部は、ウイルス対策ソフトでは発見・駆除できない。そのためウイルス対策ソフトがあるからと言って安心できるわけではない。

3:自宅へ仕事を持ち帰らない・持ち帰らせない

 Winny流出の原因の多くは、公私混同にある。私物パソコンを会社で使う、自宅パソコンで仕事をすることが流出につながっている。仕事を自宅へ持ち帰らない・持ち帰らせないことが重要だ。

4:子供にパソコンを譲らない

 もう一つは、使い終わったパソコンは子供に渡すな、といこと。データを消したつもりでもワープロソフトのバックアップファイルが流出してしまった例もある。会社で使い終わったパソコンやあなた個人が使っていたパソコンを、子供に渡すのはとても危険だ。

5:メディアの貸し借りはしない

 ハードディスクやUSBメモリー、CD-ROMやDVDといったメディアの貸し借りに注意。貸した相手がWinnyなどの暴露ウイルスに感染すると、ファイルが流出する可能性があるからだ。

 この中で特に4の「子供にパソコンを譲らない」に気をつけたい。親は子供に対して「Winnyは使っちゃダメだよ」と言い聞かせるべきだろう。ただし必ずしも子供が守るとは限らない。子供にとってゲームソフトや音楽ファイルが無料で入手できるファイル共有ソフトは、魔法の箱のように写る。また犯罪だとわかっていも、危険な行為であること自体に魅力を感じる子供もいる。

 特に最近は、さまざま々なファイル共有システムが登場しており、Winny以外でも流出する危険性がある。例えばWinnyに似ているファイル共有ソフト「Share(シェア)」でも、暴露ウイルスが大量に流れている。また海外で人気のあるファイル共有ソフト「Bit torrent(ビットトレント)」にもウイルス感染したファイルが蔓延している。

 このようにネットには、怪しげだが魅力のあるサービスが増えており、子供が手を出す可能性が常にある。だから子供に中古パソコンを与えるのは絶対にダメ。ファイルを消去しても復活する特殊なソフトがあるので、ファイル消去だけでは不十分だ。

 情報流出を防ぐには、パソコンからハードディスクを取り出し、カナヅチで破壊しよう。物理的に破壊してから捨てること、これが一番安心できる。またハードディスクなどの貸し借りも避けたほうがよい。

2007年6月14日  読売新聞)
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