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mixiを悪用、携帯の大量契約詐欺

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人気のSNS「mixi」にある在宅ワーク・副業関連のコミュニティー。詐欺、もしくは詐欺的な商法の勧誘を多く見かける

 携帯電話を大量に新規契約させ、「料金は払わなくていいから」と騙し取る詐欺事件が起きている。犯人は騙し取った携帯電話を「飛ばし携帯」として販売したり、「白ロムショップ」へ転売しているようだ。(テクニカルライター・三上洋)

携帯の解約料など約90万円の被害

 詐欺の勧誘に使われたのは、人気のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「mixi(ミクシィ)」だ。mixiでの詐欺は以前から問題になっており、以前の記事<mixiの「足あと」で誘う怪しい業者>でも取り上げている。さらに最近では在宅ワークなどの宣伝文句で被害者を引き寄せ、実際に会ってからクレジットカードなどで買い物をさせて商品を詐取する詐欺が登場している。

 一部報道機関の報道によれば、東京の女性がmixiで「簡単な書類作成の仕事があるのでやりませんか? よければお会いしましょう」というメッセージを受けた。興味を持った女性は、相手の男性(=犯人)と喫茶店で会ったところ「もっと儲かる仕事がある」と言われて、相手の男性の指示に従ってしまった。女性がやったことは以下の2点。

・自分のクレジットカードで高額な商品を購入→男性が買い取ると言われたため
・携帯電話を6台も新規契約→これも男性が買い取ると言われたため

 犯人は「お金を持ってくるから少し待っていて」と言って商品と携帯電話を持って外へ出てしまう。しかし犯人がいつまでも帰ってこなかったため、ようやく詐欺だと気づく。この女性は商品代金や携帯電話の解約料を含めて、約90万円の被害に遭っている。

携帯を6台も買わせる詐欺

 この事件では、犯人の携帯電話番号はわかっているものの、その番号は他人名義。名義人は北海道の男性で、問い合わせたところ何とその北海道の男性も詐欺の被害者だった。同様の手口で携帯電話を5台も新規契約させられ、その報酬として10万円を受け取っている。請求書については犯人に「無視していればいいから」と言われていたそうだ。状況をまとめてみよう。

・犯人は携帯の掲示板経由で北海道の男性を勧誘
・北海道の男性に携帯電話を5台契約させ、携帯は犯人が持ち帰る
・犯人はその携帯電話を使って、mixiで東京の女性を勧誘
・東京の女性に携帯電話を6台契約させ、そのままドロン

 犯人は自分の身元を隠すために、携帯電話(騙された被害者の契約)を入手しているわけだ。しかし犯人は北海道の男性に1台あたり2万円の報酬を支払っている。なぜそんな報酬を払ってまで、携帯電話を入手しようとしているのだろうか。

「飛ばし携帯」と「白ロム売却」が目的か

 犯人の目的は2つあると思われる。1つは「飛ばし携帯」だ。飛ばし携帯とは、他人の名義で契約された携帯電話のこと。今回の詐欺のように、被害者に契約させて「後でお金を払うから」といって携帯電話を騙し取る。この携帯電話を地下市場などで売りさばいてしまうのだ。「他人の名義なので特定されない」「通話料などは支払う必要なし」などと言って、ネットのアングラサイトや掲示板などで販売している(もちろん違法である)。オークション詐欺や援助交際などで使われていることが多いようだ。

 しかし飛ばし携帯といえども、被害者が気づけば解約するので使えなくなる。詐欺だとわかればすぐに解約するので、利用できるのは数日だろう(犯人はできるだけ長く使えるようにするため「請求書は気にしなくていい」などの嘘を言っている)。しかし犯人にとっては、解約されても換金する方法がある。それは2つ目の目的である「白ロムとしての転売」だ。

 白ロムとは契約していない携帯電話のこと。契約なしの状態の携帯電話が、インターネットなどで販売されている(ドコモのFOMAやソフトバンク3Gは、契約データの入ったカードを抜いた状態で販売)。詐欺の犯人は、使えなくなった携帯電話をこの白ロム販売のショップに転売してしまうのだろう。

 その証拠に、犯人が被害者に対して携帯電話の機種を詳しく指定している。例えばNTTドコモの契約では、最新の905iシリーズで人気の高いモデル(=白ロムとして高価なモデル)を選ぶように犯人が指定している。飛ばし携帯であれば機種を問わないはずだから、後で転売するためと考えていいだろう。白ロムショップでは、905iの最新モデルは4万5千円前後で販売されているから、犯人は1台当たり2〜3万円程度で転売しているのではないだろうか。

「頭金ゼロ」が詐欺の手口に悪用されている

 この詐欺の背景には、昨年からスタートした携帯電話の新しい販売制度がある。携帯電話各社は昨年から「頭金ゼロ」で新機種を購入できる制度を始めている。購入時の負担はゼロで、2年前後にわたりローンとして端末代金を払う形だ。

 以前の販売制度では、機種変更時に1〜3万円の端末代金を払うのが一般的だった。ゼロ円の携帯電話もあったが、人気のない古いモデルに限られていたのだ。

 ところが新しい販売制度では、人気の最新モデルが頭金ゼロで入手できてしまう。犯人はそこを突いて、被害者に携帯電話を新規契約させている。その携帯電話は、飛ばし携帯として売ったり、契約が切れれば白ロムショップに転売したりしてしまうわけだ。頭金ゼロ円の制度を悪用しているといってもいいだろう。また大量契約で携帯電話会社に注目されないように、同時に契約するのは1社あたり2台程度に抑えるなど、あくどい知恵も働かせている。

「携帯電話契約で報酬」に騙されるな!

 今回の詐欺のきっかけとなったmixiなどのSNSでは、詐欺の犯人が様々な形で勧誘をしている。メッセージで勧誘したり、「在宅ワーク」「副業」などのコミュニティーを作り、訪れた一般ユーザーを騙すこともある。SNSで詐欺の勧誘を避けるための注意点をまとめておこう。

・実名や職業が推測できるプロフィルは書かない
・検索設定は「公開しない」に(プロフィルが検索されなくなる)
・日記は「友人まで公開」にする(「全体に公開」は避ける)
・「在宅ワーク」「副業」といったキーワードのコミュニティーには加入しない

 SNSに限らず、最近増えてきた携帯電話関係の詐欺についても警戒したい。「携帯電話で報酬」という名目で、今回のように携帯電話を新規契約させるパターンが目立ってきた。「名義貸しだけで料金はこちらで負担する」などと誘ってくるが、これはまったくの嘘。間違いなく契約した本人に請求が来る。儲かるからといって名義貸しをするのは、詐欺の片棒をかつぐことにもなる。騙されないように気をつけたい。

2008年5月2日  読売新聞)
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