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[セキュリティEXPO報告]対策ソフトは二極化?

 ウイルス対策ソフトの競争が激しくなっている。動作の軽さやウイルス検知率の高さで競い合っているほか、価格競争も続いている。ウイルス対策ソフトの現状と将来について、各社に話を聞いた。(テクニカルライター・三上洋)

「情報セキュリティEXPO」でのウイルス対策ソフト

 5月14日から16日まで、東京ビッグサイトで「情報セキュリティEXPO」が開催された。主に企業向けの展示会だが、一般ユーザー向けのセキュリティー対策ソフトを販売しているメーカーも参加した。出展したソフトメーカーに、低価格化が進む一般ユーザー向けウイルス対策ソフトの業界動向と将来について話を聞いた。

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情報セキュリティEXPOでのカスペルスキーのブース。ロシア発だが英語圏ではウイルス検知率の高さで有名。日本ではジャストシステムが販売している

 出展メーカーで目立ったのは海外からの新規参入組だ。高性能ウイルス対策ソフトとして英語圏では有名なカスペルスキー社や、ドイツのジーデータなどが製品をアピールしていた。カスペルスキー社(日本ではジャストシステムが販売)は、「日本では対策ソフトの価格競争が激しくなっているが、当社はウイルス検知率の高さをユーザーにアピールしている。価格を無理に下げずに性能で勝負していきたい」とコメント。またドイツのジーテータ社(2006年から日本市場に参入)は「価格競争ではソフト本体の価格を下げ、3ユーザー版も低価格で投入した。これ以上は価格を下げず、高品質なものを提供していきたい」とコメントしている。

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ジーデータはドイツのセキュリティ企業で、日本でも個人向け製品を発売している

 この2社は海外から参入したメーカーであり、まだ日本の市場では知名度は低い。ウイルス検知率の高さで有名なソフトだけに、無理に価格競争には参戦せず「高品質」をウリにして勝負していきたいようだ。

「軽さ」とサポート体制充実

 ウイルス対策ソフトは安全を求めるために、年を追うごとに多機能化している。リアルタイム監視機能やメール監視機能はもちろんのこと、ファイル共有ソフト(P2P)への対策など、どんどん機能が追加されてきた。その反面、機能が多過ぎて動作が重くなる欠点もある。ウイルス対策ソフトはパソコンに常駐するものだけに、動作が重いのはユーザーにとって迷惑だ。

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キャノンITソリューションズでは、NOD32アンチウイルスをベースにした統合セキュリティソフト「イーセットスマートセキュリティ」を発売している

 これについて「NOD32アンチウイルス」を販売しているキャノンITソリューションズでは「当社のソフトの最大の特徴は動作が軽いこと。またウイルス検知率の高さでも高い評価を得ている。軽さと性能の高さでPRしていきたい」とコメント。また業界最大手のトレンドマイクロ社では「動作が重くなったことを反省し、最新製品からはメモリ使用量を以前より50%以上削減。これにより軽快に使っていただけるようになった」とコメントしている。

 パソコン雑誌では動作の軽さをテストする記事が掲載されていることもあって、各社ともできるだけ軽くすることに注力しているようだ。もう一つユーザーにとって気になるのはサポート体制だ。ウイルスに感染してしまうと、ウェブサイトを見られなくなることもある。電話サポート体制がしっかりしているところを選びたい。

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業界最大手のトレンドマイクロでは、「Webからの脅威」をキーワードに「Webレピュテーション」などの技術をアピールしていた

 トレンドマイクロ社では「当社では電話サポート体制を充実させているが、新たに『24時間PCサポート』というサービスを開始した。60日間で2100円の料金だが、ウイルス対策に限らずPCの操作全般についての電話相談を受け付ける。パソコンの操作に慣れていないユーザーに向けて当社の製品を使っていただきたい」とのことだ。

ソフトの二極化と第三者機関

 今後のウイルス対策ソフトについては、ジーデータ社は「二極化するのではないか。無料に近い格安ソフトと、安全性が高く性能も優れている高価格ソフトの2つに分かれそうだ」。トレンドマイクロ社では「脆弱性を狙った攻撃が増えている。脆弱性が直されるまでの間(いわゆるゼロデイ)を守るための機能が重要になるだろう」として自社の「Webレピュテーション」などをアピールしていた。

 価格の安いウイルス対策ソフトと、高品質で未知のウイルスにも対応する安全性の高いモデルに二極化していくのかもしれない。ここで問題になるのはウイルス検知率だ。ウイルスをどこまで検知できるかで対策ソフトの性能が左右される。英語圏では各ソフトの性能をチェックする第三者機関が複数あり、検知率のソフト別ランキングが毎月発表されている。しかし日本にはチェック機関がないため、性能差がわかりにくいのが現状だ。

 これについてカスペルスキー社は「日本でもウイルス検知率をチェックする第三者機関があるべきだ。ユーザーの指針となるほか、販売店やメディアにとっても有用だろう」と述べていた。またジーデータ社は「ウイルス検知率を発表すること自体が、業界の活性化につながるだろう。検知率が低いソフトであっても、発表に刺激されてウイルス検知率を高める努力をするはず。安全性を高めるためにも、日本でも第三者機関があったほうがいい」とコメントしている。

 ただしこれには異論もあって「第三者機関があってもよいと思うが、コストがかかり過ぎるのではないか。新種のウイルスが毎日大量に登場する現在では、検知率を公正にチェックするのは大変なので現実的ではないかもしれない(メーカー関係者)」という意見もある。後発のウイルス対策ソフトメーカーは、自社の品質の高さを証明するために第三者機関が欲しい。逆にすでにシェアを持っている既存メーカーは、ウイルス検知率の競争には積極的ではない、というのが現実かもしれない。

 ユーザーにとって見れば、ソフトの性能差を知るために第三者機関のデータがあったほうがいい。日本でもウイルス対策ソフトの実力をチェックすための公正な機関が生まれてほしいものだ。

2008年5月16日  読売新聞)
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