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iPhone、iPadのウイルス感染対策 iPhoneとiPadに 保存されている個人情報や写真・メールなどを盗み取られる可能性がある。(テクニカルライター・三上洋) PDFファイルで感染アップル社製のスマートフォン、iPhoneとタブレット型PC、iPadで、脆弱性が発見された。細工されたPDF形式の文書ファイルを読み込むと、ウイルスなどに感染して外部から遠隔操作されたり、個人情報などを盗み取られる危険性がある。 アップルではこの脆弱性を直すアップデートファイルを、12日朝から配布している。また、企業向けセキュリティー対策大手・ラックでは、この問題に関する記者説明会を開いた。 対象となるのは、iPhone・iPad向けOS(基本ソフト)である「iOS」を搭載している以下の機種だ。 いずれも携帯電話回線、もしくはWiFi(無線LAN)でインターネットに接続できる機種で、悪意のある人物によって細工されたPDFファイルを読み込むと、ウイルスなどに感染する可能性がある。感染の具体的なパターンとして、ラックでは二つのルートを想定している。 怖いのは前者で、以前に紹介したガンブラー攻撃のように、正規のサイトが改ざんされて不正なファイルが埋め込まれるパターンが考えられる。企業サイトやショッピングサイトなどを訪問しただけで感染する危険性がある。 外部操作で電話発信なども この脆弱性について、ラックでは実際の被害を検証するデモンストレーションを行った。脆弱性を攻撃するPDFファイルを作成し、仮想のブサイトにそのファイルを埋め込み、最新モデルのiPhone4でアクセスする。 するとiPhone4が外部から操作されるようになってしまった。犯人が使うと想定したパソコンからアクセスすると、iPhone4に保存されたデータがすべて読めてしまう。デモではiPhone4に保存されたメールを表示できるほか、撮影した写真もパソコンで読み取れた。さらに外部からのリモートコントロールで、電話をかけることができた。パソコンからコマンド操作で電話できるのだ。 ラックの常務執行役員・西本逸郎氏は「電話機能のあるiPhoneは、パソコンとは異なり24時間電源を入れた状態にあるので危険だ。海外に電話をかけて料金の一部を利益とするサービス(日本でのダイヤルQ2と同じもの)で儲けようとする犯罪者が出てくるかもしれない。また原理的にはGPSデータを盗み出し、持ち主の居場所を確かめることも可能だろう」と述べている。 原因となっている脆弱性は二つある。一つは不正なPDFファイルを読み込んだ場合に、バッファオーバーフローという状態になって、任意のプログラムを実行できること。もう一つは、一部のデータを処理する際にオーバーフローし、システム権限を昇格できてしまうことだ。システム権限の昇格によって“脱獄”(Jailbreak、ジェイルブレイク)という状態になり、OSの制限を外すこともできる。 “脱獄”で外部操作の危険性 iPhone、iPadの“脱獄”とは、アップルによるソフト上の規制を取り外すこと。アップルの審査を通っていないアプリが使えたり、さまざまなカスタマイズができるようになる。アップルの保証が利かなくなるが、利便性を求める一部のマニアが“脱獄”を行っている。 実は今回の脆弱性は、この“脱獄”実行のサイト「JailbreakMe」が広まったことから表面化した。「JailbreakMe」というサイトでは、サイト上のボタンを押すだけで“脱獄”できてしまう。「JailbreakMe」の作者が、iOSの脆弱性を利用していたわけだ。筆者の推測にはなるが、アップルが迅速にアップデートファイルを配布した理由は、脆弱性を直すだけではなく、脱獄を防止する目的があると思われる。今後は「脱獄できる」と称して、ウイルスに感染させるパターンも登場するかもしれない。知識のない人は「脱獄」には関わらないほうがいいだろう。 今回の脆弱性は、12日から配布されているアップデートファイル(iOS 4.0.2)で解消される。iPhoneやiPadは本体だけではアップデートできず、必ずパソコンに接続して「iTunes」経由でアップデートする必要がある。できるだけ早くiPhone、iPadをパソコンに接続し、iOS4.0.2にアップデートしよう。 ただし旧型モデルのiPhone 3Gでは、iOS4以上のアップデートをすると動作が遅くなるというネックがある。本来ならiPhone 3G向けには、iOS3でのアップデートを配布するべきだと筆者は考えるが、アップル側ではiOS4のみを用意している。非常に悩ましいところではあるが、安全のためにiOS4.0.2にアップデートすることを勧めたい。 (2010年8月13日 読売新聞)
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