記事を分析 教師の交流
教育ルネサンス 夜のとばりがおりた9月末の熊本県天草市民センター。クラブ活動など放課後の指導を終えた先生らが三々五々集まってきた。事務室に届けられている朝夕刊の束を抱え、会議室へ。新聞活用学習の自主的勉強会である「NIEネットワーク熊本」天草支部の月例会が始まる。
 学校行事の準備などが重なり、参加者はいつもより少ない10人弱。向かい合わせに机を並べ替え、思い思いに新聞を広げて眺め始めた。司会が「そろそろ行きますか」と促すと、各自気になった記事を取り上げコメントしていく。
 全日空機が大惨事につながりかねない背面飛行をしたという記事を挙げたのは、清田麻里・市立稜南中学校教諭。「混雑する日本の空でこんなことが起きるとは驚きね」。すかさず「なぜ3週間以上も過ぎてから発表したんだろう」という声。「中国でも鉄道事故が相次ぎ、人為的事故が目立つ。自分も最近細かい凡ミスが続いているので戒めたい」という別の発言には場がどっと笑いに包まれた。
 青色発光ダイオードの開発で知られる中村修二氏が米テレビ界最高の栄誉となるエミー賞を受賞した記事には、日本の人材流出などに話が及んだ。琴奨菊が大関昇進の口上で述べた「万理一空」の意味にも議論が沸く。記事を分析する中から、学習への応用のヒントがわいてくる。
 続いて研究報告。田中慎一朗・市立本渡中学校教諭(37)が週1回始業前の15分に計画している新聞を使った朝学習の進め方を説明した。生徒が興味を持てる記事を選び、自分の考えをまとめ、伝えられるようにする。「学校全体の取り組みにできれば」と意欲的な田中教諭に、「周りの先生方の理解も得て定着させたいね」と励ましも。個の活動もアドバイスをもらうと自信につながる。
天草市の市民センターで
和気あいあいの雰囲気の中で意見交換する先生たち(9月29日、天草市の市民センターで)

 設立発起人の一人でもある田中教諭は、「誰でも参加でき、校種を超えた出会いがある。子どもの成長段階に応じた教育を考えるうえでもいい刺激になります」と話す。当日の新聞を一緒に読み、意見を言い合う天草のスタイルは、教師が新聞に慣れ親しむいい方法だとして、各地の勉強会で取り入れられている。
 今年から11月が「NIE(新聞活用学習)月間」になった。教師の個々の実践を学校全体や地域へどう広げていくか。それを支える組織や試みを紹介する。
(坂井伸行、写真も)

メモ
 熊本市での勉強会には片道約100キロ・メートル、2時間はかかり往復するのが大変なため、5年前、天草支部ができた。10月で会合61回を数える。こうした自主的な新聞活用の勉強グループは、日本新聞協会が把握しているだけで全国に25あるが、県庁所在地以外での支部活動は珍しい。

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