学校ぐるみで授業案
教育ルネサンス 「月にはいろいろな形があります。4日前までは満月だったけど、今日の月はどんな形だろう」
 東京・北区の区立東十条小学校で9月半ばに行われた4年2組の理科の授業。一呼吸置いて担任の川口伸吾教諭(33)が黒板にするすると巻物を貼り出すと、子どもたちから「オーッ」と歓声が上がった。三日月がだんだん満月に変身する様子が分かる月齢図10日分がずらり。読売新聞の地域版を拡大コピーした川口教諭の力作だ。
 同小の全教員がNIE(新聞活用学習)の授業をする11月下旬の発表会に向けての取り組み。「最初は新聞を授業でどう扱っていいか分からなかった」という新人の川口教諭も、「最近は新聞は自由に授業に取り入れればいい、思っていたほど難しくないと分かってきた」と話す。この授業も8月下旬頃から、校内で同僚の教員に相談しながら練り上げてきた。
 校内で教員同士が気軽に相談できる体制を整えたのは、同小の関口修司校長(56)だ。長年、新聞を使った授業を続けてきたが、初めて校長になった区立王子第三小学校で、学校ぐるみの取り組みを始めた。「個人でやっても成果は継続しないと実感していた」と振り返る。
 現場トップがリーダーシップを発揮すると、学校が変わる。東十条小では全児童が毎週1回、15〜20分間新聞を読む。廊下には新聞コーナーが設置された。新聞活用を通して教師たちが授業手法を学べるようになり、NIEの授業に限らず授業案に広がりが出てきたという。
北区の東十条小で
新聞を使った川口教諭(右手前)の授業を見守る関口校長(左奥)(9月16日、東京・北区の東十条小で)

 北区の教育委員会が昨年度から始めた「新聞大好きプロジェクト」も、こうした学校ぐるみの新聞活用の取り組みを支援する。小中学校教員向けの研修を始めたほか、NIEに関する講師派遣への補助金を出している。
 岡山県倉敷市立真備東中の横田真智子校長(58)も、校長になってから、学校ぐるみの新聞活用を進めてきた1人。「教師が週1回、気になった記事を披露すると、『先生、こんなことに興味あったんだ』と新たな関心を示す子もいて、教師と生徒の交流にも役立っています」と話す。昨年、生徒が独自に集まり、新聞を使って考える「NIE愛好会」もできたという。点から線、そして面へと新聞活用が広がっている。
(住吉由佳、写真も)

新聞大好きプロジェクト
 東京都北区が昨年度から始めた施策で、新聞に親しみ、社会の出来事に興味を持つことで、児童生徒の思考力、判断力、表現力、問題解決能力などを伸ばすことを目指す。教員研修の様々な場面で新聞活用学習を導入している。

英文ぺージへ