社会に関心 親子で共有
教育ルネサンス 「どういう時、馬鹿(ばか)だなーって思う? はい、お母さん」。先生から質問を振られた母親は、「料理の味付けを間違えちゃった時ですかね」。軽妙なやりとりに、教室内が沸いた。母親の隣で、小学生の娘も思わず笑う。
 10月8日、東京・杉並区の区立方南小学校で開かれた土曜日学校。この日は親子が一緒に新聞で学ぶ「親子新聞教室」で、会場の教室は同小児童とその親ら約90人でいっぱいになった。
 「馬鹿」という言葉の語源は諸説があるが、その一つに、間違った情報を力で押し通した中国の故事がある。参加した親子は、まず、この故事を劇で演じ、権力の周辺から発信される情報の危うさを体感。そうしてメディアが伝える情報との接し方を学んだ後で、親子で好きな新聞記事を切り抜く作業に取りかかった。
 「ぼく、音楽クラブでシーラカンスの歌をやってるから、これにする」。田中風希君(11)は、母親の尚美さん(44)にそう言いながら、恐竜について書かれた記事を切り抜いている。尚美さんは、「お風呂で『〽シーラカンス』ってよく歌ってたけど、こんなに恐竜に関心があるなんて。今回初めて気づきました」と喜んでいた。
 方南小の土曜日学校は、月1回、地域ボランティアの主導で開催している。内容は、ダンス、キャッチボールなど体を動かすものから、親子でマンガを描こうなど、学校と家庭、地域をつなぐものまで様々だ。
 親子新聞教室は、今回で2回目。同小は、5、6年生全員が宿題で新聞スクラップに取り組むなどNIE(新聞活用学習)への関心が高く、学校側も新聞教室を支援する。5年担任の高橋萌教諭(25)は、「子どもたちがいろいろなことに興味を持つ姿が興味深い。小さい子でもお母さんと一緒に取り組める」と話す。
杉並区立方南小学校で
親子新聞教室で、新聞を楽しそうに切り抜く親子
(10月8日、東京・杉並区立方南小学校で)=増田教三撮影

 土曜日学校を運営する地域ボランティアの大嶋正人さん(60)は、「親が子に『学校どうだった?』って聞いても話が広がらないことが多いと聞くが、今回の新聞教室では、世の中のことをわが子と話す機会ができ、新鮮だったという親の声が多かった」とうれしそうだ。
 末吉雄二校長(56)は、「親子の会話の大切さについて、意識が芽生えた親が多いようだ。子どもも社会への関心を深めている。またこんな機会を作りたい」と話す。
 新聞が親子のコミュニケーションの潤滑油になっている。
(住吉由佳)

土曜日学校
 地域ボランティアらが先生役となって小中学生らに学校で教える学びの場。学校週5日制完全導入(2002年)以降、完全休みとなった土曜日の取り組みとして各地で広がっている。

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