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東京読売新聞(朝刊)

 2002年7月20日 土曜日(6面)

英に「ユーロ特区」歓迎と反発 導入実験6日間 PR不足、使用率は1割未満

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 欧州単一通貨ユーロに加入していない英国で、公式通貨ポンドに加え、ユーロの使用を公式に認めた「ユーロ特区」が、このほど、ウェールズの山あいの町ランゴランで試験的に設置された。欧州大陸から10万人が集まった音楽祭にあわせたわずか六日間の導入実験だったが、英国の世論を二分するユーロをめぐり、人口3000千人の町でも、賛成・反対派に分かれたユーロ騒動が展開された。

 「当店は欧州のお客さん大歓迎、ユーロ大歓迎です」。町の中心部に面したチョコレート店でベサン・グリーンさんは、店の前を過ぎる客に声をかけた。「ユーロ受け取ります」との看板を掲げ、レジにはポンド―ユーロの交換レートも入力済み。手慣れた様子でユーロ紙幣を扱い、お客には釣り銭をポンド貨幣で手渡した。「もうすっかり慣れたわ。いつ英国がユーロに加盟しても大丈夫」  客側の反応も上々だ。オランダの女子大生は、「まさか英国でユーロが使えるなんて」と、ユーロでの買い物を楽しんでいた。

 ユーロ特区の試みは、同町で毎夏開かれる「ウェールズ国際音楽祭」に合わせた企画で、期間は7月9日から14日までの6日間だった。期間中、欧州大陸から約11万人の音楽ファンが集まるのを見越し、地元選出のマーチン・ジョーンズ議員(労働党)が、「商店街でユーロを受け入れ、観光客を歓迎しよう」と提唱したのが始まりだった。

 これを受けて、ユーロ導入に積極的なヘイン外務担当閣外相やキノック欧州委員会副委員長(元労働党党首)らも、「英国民がユーロに脅威を感じていないことを証明する試みだ」と、全面的な支持を表明した。

 これに機嫌を損ねたのは、地元の保守層だ。スチュアート・デービス元町長は、「町民をモルモットにしようとする労働党の奇策だ」と強烈に批判。結局、商店街の約90店のうち、約20店は、ユーロの受け入れを拒否する形となった。商店街の有力者で食料品店を経営するジャン・ウッドさんも、店頭で「決定前に商店街には何の相談もなかった。ちょうど忙しい時期に、ユーロなんて構っていられるか」と反発をあらわにしていた。

 最新の世論調査では、ユーロ導入反対の英国民が、賛成派を4ポイント上回る41%に達し、ユーロ・アレルギーは依然根強い状態だ。

 ランゴランでは結局、PR不足が影響し、欧州からの観光客のほとんどはポンドに両替済みで、ユーロを使用した客の数は、一割未満にとどまった。山あいの町を駆け抜けたユーロ騒動は、来年度の再実施の是非をめぐり、秋以降にまた熱い議論が繰り返される。

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