読売新聞(夕刊)

 1992年9月17日 木曜日(1面)

英伊が欧州通貨制度の為替相場メカニズムから離脱 英金利上げ3%は撤回

【ジュネーブ16日=榧野信治】ノーマン・ラモント英蔵相は十六日、イギリスが、欧州通貨制度(EMS)の為替相場メカニズム(ERM)から一時的に離脱すると発表した。ポンドをERMの変動範囲内で支えることができなくなったことを英政府が公式に認めたもの。事実上、変動相場制への移行で、ポンドの無制限切り下げともいえる。七九年三月のERM発足以来、加盟通貨が一時的にせよ離脱するのは今回が初めて。

 また欧州共同体(EC)は同日深夜(日本時間十七日早朝)、通貨政策を担当するEC通貨評議会を緊急招集、ブリュッセルで協議を行い、十七日未明、ポンドに続いて、イタリア・リラも、ERMから離脱することで合意した。さらに、スペイン・ペセタを五%新たに切り下げることになった。欧州各国はこの措置により、欧州連合設立条約(マーストリヒト条約)を巡る二十日のフランスの国民投票などの影響を回避したい考えだが、ERMは発足以来最大の危機に直面している。

 ラモント蔵相はポンドのERM離脱と同時に、十六日午後発表したこの日二度目の金利引き上げ(上げ幅三%)を撤回した。ポンド防衛の失敗と利上げをめぐる不手際で、英政財界には同蔵相とメージャー首相に対する不信感が高まっており、蔵相、首相の責任問題に発展するのは避けられない情勢となっている。