’87読者が選んだ10大ニュース
〈1〉 竹下新政権が発足 15,612 (76.5%)
〈2〉 新生JRスタート 13,243 (64.9%)
〈3〉 利根川教授にノーベル賞 11,649 (57.1%)
〈4〉 天皇陛下が腸のご手術 11,573 (56.7%)
〈5〉 エイズ汚染深刻に 10,420 (51.0%)
〈6〉 若王子さん無事生還 10,346 (50.7%)
〈7〉 南ア機墜落邦人47人絶望 10,011 (49.0%)
〈8〉 石原裕次郎さん死去 9,523 (46.6%)
〈9〉 NTT株フィーバー 9,217 (45.1%)
〈10〉株価が世界的に大暴落 8,902 (43.6%)
〈11〉大都市の地価が異常高騰 8,370 (42.0%)
〈12〉大韓機不明に疑惑 8,250 (41.4%)
〈13〉統一選で自民敗北、売上税は廃案に 6,689 (33.6%)
〈14〉円高騰、最高値を更新 5,593 (28.1%)
〈15〉王・巨人初V、江川引退 5,470 (27.4%)
〈16〉衣笠、連続出場世界新 5,264 (26.4%)
〈17〉東芝機械ココム違反事件 3,982 (20.0%)
〈18〉高松宮さまご逝去 3,711 (18.6%)
〈19〉功明ちゃん誘拐殺害事件 3,514 (17.6%)
〈20〉三億円強奪犯人は仏人 3,315 (16.6%)
◆1 竹下新政権が誕生◆
11月6日召集された第百十臨時国会の衆議院、参議院の両本会議で、自民党総裁の竹下登氏(63)が第74代の首相に指名され、同夜組閣を終えて5年ぶりの新政権・竹下内閣がスタートした。
これに先立つ“ポスト中曽根”の自民党後継総裁選びでは、いち早く出馬表明をした二階堂進前副総裁が、予備選に必要な五十人の推薦人を集められずに脱落。10月8日に告示された総裁選は、竹下党幹事長、安倍晋太郎総務会長、宮沢喜一蔵相のいわゆるニューリーダーが正式出馬を表明、三氏の争いとなった。
三氏は話し合い選出を目指し、個別、三者会談を繰り返したが、合意に至らず、投票決着にもつれ込む寸前の10月19日夜、中曽根総裁に白紙一任した。これを受けた同総裁は直ちに選考に入り、20日未明、党内最大派閥を抱える竹下氏を指名、同氏が31日の臨時党大会で第12代の自民党総裁に選出された。
竹下新首相は11月27日の衆参両院で「常に国民の皆様の声に耳を傾け、衆知を集め、合意を求めながら、誠実な実行の政治を」と所信表明。
新政権は、税制改革や地価問題を背負っての船出だが、スタート直後の本社世論調査では51%の支持を得るなどまずまずの滑り出し。不得手とされた外交でも、12月15日にフィリピン・マニラ市で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席、ポイントを稼いだ。
◆2 新生JRがスタート◆
明治5年に新橋―横浜間が開業して以来、同39年の鉄道国有化、昭和24年には公共企業体移行などの道をたどってきた国鉄が、3月31日を最後に115年に及ぶ歴史に幕を閉じた。
4月1日午前0時をもって民営化され、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の六旅客鉄道、JR貨物、鉄道通信、鉄道情報システムの九会社と、新幹線保有機構、鉄道総合技術研究所の計十一法人の事業体に分割されて新たなスタートを切った。これで戦後生まれた三公社はすべて姿を消した。
しかし、分割民営化と同時に新会社に移ることになっていた内定者が、勤務地変更などの不安から、かけ込み辞退するケースも多く、欠員は一万三千人にもなった。また、新事業体が旧国鉄から引き継いだ債務は計十四兆五千億円にものぼり、重荷をかついでの再出発となった。
このためJR各社は、旅行業、不動産賃貸、駐車場、広告など、既存の私鉄並みに広がった業務範囲で関連事業収入をあげることを試みる一方、航空、並行私鉄線などのライバル運輸会社に対抗するため、新型の豪華車両を次々と登場させるなど様々なサービス、乗務員のマナー向上に努めている。
一方、国鉄清算事業団の二十三兆円の債務返済のカギとなる旧国鉄用地売却は、折からの地価高騰をあおるとして「高騰地域の売却見合わせ」が閣議決定されたため、大幅に予定が狂い、とりあえず地方中心に五十件が決定、今年度分の用地売却収入三千億円の達成は絶望的となった。
◆3 利根川教授にノーベル賞◆
今年度のノーベル医学・生理学賞に10月12日、利根川進・米マサチューセッツ工科大学教授(48)が決定した。受賞理由は「多様な抗体が作られる遺伝的原理」の解明。人間の体には外から病原菌など(抗原)が侵入すると、それをうまく取り込み有害な作用を阻止する特殊タンパク(抗体)を作り出す力があるが、その過程で遺伝子がダイナミックに動くという驚くべき現象を発見したこと、などの業績が評価された。日本人のノーベル賞受賞者はこれで7人目だが、医学・生理学賞は初めて。
利根川さんは昭和38年、京都大学理学部卒。同年アメリカに渡り、56年からマサチューセッツ工科大教授を務めている。59年には文化勲章を受章した。
利根川さんは「負けん気が強く、まっしぐらな性格」として知られ、協調第一的な日本の研究風土に合わず、海外に出て、大輪の花を咲かせた。48年にノーベル物理学賞を受賞し現在もアメリカで活躍中の江崎玲於奈博士をはじめ、“頭脳の海外流出”が騒がれる中、改めて日本の研究風土のあり方が問われた受賞だった。
◆4 天皇陛下が腸のご手術◆
天皇陛下は9月22日、宮内庁病院に入院され、東大付属病院長の森岡恭彦博士の執刀による腸の通過障害回復手術をお受けになられた。歴代天皇の中では前例がないという開腹手術で、手術は2時間35分にわたった。医師団が同29日発表したところによると、病名は慢性スイ炎の中でも珍しい「腫瘤(しゅりゅう=はれもの)形成性スイ炎」だったが、術後の経過も良好で国民を安心させた。
八十六歳というご高齢にもかかわらず、陛下は順調に回復され、10月7日に退院されたが、陛下が長年の念願とされてきた沖縄ご訪問は、取りやめになった。この間、陛下の国事行為は、皇太子殿下が臨時代行されたが、政府は12月15日、皇太子殿下に委任していた国事行為の臨時代行のうち一部を解除し、陛下は84日ぶりに公務に復帰された。国事行為ではないが、来年1月2日に行われる新年の一般参賀にもお出ましになり、手術以来、初めて一般国民の前に立たれることになった。
◆5 エイズ汚染深刻に◆
一昨年春、エイズ(後天性免疫不全症候群)日本上陸第一号が明らかになって以来、エイズの汚染はじわじわと浸透、今年に入って1月17日、日本初の女性エイズ患者(3日後死亡)が神戸市内で確認され、百人以上の男性と交渉していたことが明らかになり、同市を中心に“エイズ・パニック”が広がった。
厚生省の11月の発表によると、確認されたわが国のエイズ患者は、一昨年末で十一人だったのが昨年末には二・三倍の二十五人、そして今年(11月24日現在)は、さらに二・四倍の五十九人(うち三十三人死亡)となる倍々ペース。感染者も九百八十六人に達した。感染妊婦の出産や、手術を受けた女性が献血血液の輸血を受けて感染したケースもあり、感染経路はより複雑、多様化している。また、感染相手の大半が不明で、感染防止はますます困難になっている。
◆6 若王子さん無事生還◆
昨年11月15日、マニラ市郊外でゴルフ場から帰る途中、フィリピン人とみられる武装した五人組に誘拐された三井物産の若王子信行マニラ支店長(53)が、3月31日午後7時(日本時間同8時)ごろ、マニラ首都圏ケソン市内で、137日間に及ぶ監禁生活から解放された。この間、犯人グループから、右手中指が切り落とされたのではないかとみられる写真などが報道機関に送りつけられたが、若王子さんの体に異状はなかった。
「あの事件で、弱気になったら終わり、何ごとにも強気で当たらなければと確信するようになった」という若王子さん。現在、本社の薄板貿易部長として、途上国の追い上げなど厳しい経済環境の中、陣頭に立っているが、一方、犯人グループの正体や動機などは依然として不明。日本企業は円高で海外生産を迫られ、また“金持ち日本”がなにかと注目されているだけに、他人事では片づけられない事件だった。
◆7 南ア機墜落邦人47人絶望◆
11月28日、台湾・台北から南アフリカ共和国・ヨハネスブルグに向かっていた南アフリカ航空ボーイング747型機が、給油地モーリシャス近くのインド洋上に墜落した。機体の破片や十一遺体を発見、収容したが、日本人乗客四十七人を含む乗客乗員百六十人は、全員絶望とされている。
日本人乗客のうち三十八人は、南アフリカ・ケープタウンを基地にトロール漁業をしている日本水産の漁船員で、交代のための空の旅。わが国の遠洋漁業の現況を改めて浮き彫りにした事故だった。
このほか事故機には、二か月前に結婚したばかりの全日本プロレスレスラー・薗田一治さん(31)、真弓さん(30)夫妻や日本鰹鮪漁協連合会役員、新日鉄社員らも乗っていた。
スーツケースなど十三点の遺品が回収されたほかは、遺体収容も思うにまかせぬまま、家族・関係者ら約百人は12月3日、モーリシャス東方二百キロの墜落海域へ“慰霊フライト”。また、漁業関係者の家族ら約六十人も6日、海に沈んだ肉親にタグボートから最後の別れを告げた。
◆8 石原裕次郎さん死去◆
31年、映画「太陽の季節」で「太陽族」の流行語とともにデビュー、映画、歌謡界のスーパースターとして活躍した石原裕次郎さんが、7月17日、肝細胞ガンのため死去した。五十二歳。6年前、胸部動脈リュウで大手術の末、奇跡的にカムバックしたが、59年にガンと診断され、以後、入退院を繰り返していた。
裕次郎さんは、「もはや戦後ではない」といわれた新しい時代の息吹を演じてスクリーンに衝撃的に登場、「嵐を呼ぶ男」などで日活アクション路線のドル箱スターとなった。
38年には石原プロを設立し、「太陽にほえろ!」の出演など、ブラウン管でも活躍、幅広いファンの支持を得た。また、「銀座の恋の物語」をはじめ数々のヒット曲で、歌手としても不動のスターの座を保っていた。
8月11日に東京・青山葬儀所で行われた告別式には、ファン一万人が詰めかけ、「裕ちゃん」を見送った。
また、硬派の二枚目俳優で歌手の鶴田浩二さんも6月16日、六十二歳で死去しており、大スターの死が続いた。
◆9 NTT株フィーバー◆
昨年の上場決定以来「暴騰必至」「高過ぎるので下がる」と話題を呼んでいた日本電信電話会社(NTT)の株式が、2月9日、東京、大阪、名古屋の三証券市場で新規上場された。
東証では、上場と同時に買いが殺到、初日は値がつかず、二日目の後場の引け際になってようやく百六十万円(一株=額面五万円)で初値がついた。これは一般売り出し価格から四十万三千円高。その後も株価はほぼ一本調子で上昇、わずか一か月足らずの3月4日には三百万円の大台に達した。
その後は、さすがに反落し、二百五十万円前後で推移、11月10日の第二次放出時では、大暴落直後で市場全体が沈滞していたこともあってフィーバーは起こらず、かえって放出価格より下げている。
しかし、NTT株が個人投資家に与えた影響は大きく、これまで株に縁のなかった人々にも株式投資熱をあおった。
◆10 株価、世界で大暴落◆
ブラック・マンデー(暗黒の月曜日)世界を揺るがす−−10月19日(月)、ニューヨーク株式市場は、前週末終値比五〇八ドル三二セント安と、29年の世界恐慌時を上回る史上最大の暴落を記録、この余波で20日の東京市場も、終値は平均株価が前日比三千八百三十六円四十八銭安となり、下げ幅、下げ率(一四・九%)とも過去最高となった。
ニューヨーク市場の大暴落は、政府高官のドル安容認発言、ペルシャ湾の緊張激化にコンピューターを利用した「自動的株売却指示(売りプログラム)」が拍車をかけたのが直接の引き金とされるが、根本原因は財政と貿易のいわゆる双子の赤字が改善されないアメリカ経済への先行き不安だ。レーガン米大統領は12月22日、88、89両年度で七百六十億ドルを上回る財政赤字削減を行うという法案に署名したが、果たして効果は……。
財テクブームに踊ってきた一般投資家たちにとって、気の休まらない日々が続きそうだ。
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