切り抜きで「マイ新聞」
参加者たち
思い思いのテーマで記事や写真を貼り、作品に仕上げていく参加者たち(7月23日)=三輪洋子撮影
   自由研究に役立つ「夏休み親子新聞教室」が7月23、30の両日、東京・銀座の読売新聞東京本社で開かれ、小中学生の親子ら約230人が参加した。楽しみながら新聞を活用するコツを、鹿野川喜代美・本紙NIE企画デザイナーが説明。参加者は思い思いに新聞作りに取り組んだ。
 ベテランの小中学校教諭らも指導にかけつけ、東日本大震災の被災地を元気づける壁新聞、歴史をまとめた新聞、自分たちの地域を探検した新聞など、これまで学校で取り組んだ児童生徒の作品を紹介した。「家族や友達の意見も新聞に書き加え、自分と人の意見を比べてみるのも、とても意味がある」など、学習するうえでの要点を述べた。
 作業の途中で、先生方が選んだ優秀作品が何点か紹介された。節電に向け暑い夏の過ごし方を考えさせたり、鮮やかな広告写真を使い見栄えがするよう工夫したりと、アイデアいっぱいの紙面作りに感心する声が上がっていた。
鹿野川喜代美
自由研究に役立つ「夏休み親子新聞教室」で新聞活用について話す
鹿野川喜代美・NIE企画デザイナー
鹿野川喜代美
 パソコンは一つのことを調べるには便利ですが、新聞にはいろんなことが書いてあり、それを読むことは考えを深め、世界を広げるチャンスになります。
 特に新聞には、たくさんの写真が載っています。100行の原稿でも写真1枚には勝てない、っていうぐらい、写真には威力があります。まず、気になる写真を探しましょう。例えば、「尊敬する人や愛を見つけた」など、何でもいいんです。
 テーマを決めて記事をスクラップ帳に貼り付け、意見を書き加え、見出しを付けて作品にする新聞スクラップを始めましょう。楽しいイラストを集めるだけでもすばらしいスクラップ帳になります。これなら小さいお子さんでもできます。4コマ漫画に題名をつけたり、漫画に沿ったお話を書いたりするうちに、字を書くのが嫌いな子が何となく好きになり、言葉の力も育成されていきます。
 大好きなポケモンの慣用句を使って日記を書いてもいい。テーマに合った新聞記事を集めて、「ごみ問題新聞」「核問題を調べよう」とまとめたり、自分が生まれてから今までを調べて「自分新聞」にしてみるのもいいでしょう。
 親子で一緒に楽しむ時間はそんなにありません。きょうをきっかけに、家庭で自由に新聞活用を始めてみてください。

指導教諭の実践例
「ニュース見つけた」
(指導内容)社会を広く見る目を養うため、興味を持った記事を用紙に貼り、その記事の要約と感想を書く。
(効果)東日本大震災の津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」を紹介し、児童らは関連する記事を次々見つけた。興味の対象も広がっていった。「一つのテーマを追いかけるのも面白いですよ」
「運動会新聞」
(指導内容)読解力がつく「小見出し」の工夫。運動会の文章を、思いを込めたひと言で表現させた。
(効果)「大玉送りは奇跡の大逆転」の小見出しも。興味を持った記事から「いつ」「どこで」など5W1Hを探し、その記事の感想を書く学習も行い、起承転結を考えて文章が書けるようになった。
「校外学習新聞」
(指導内容)カヌー体験など校外学習で最も思い出に残った出来事をトップ記事にし、自分で撮った写真もつけさせた。
(効果)レイアウトや見出しを考え、読者に読んでもらえるよう創意工夫できるのが新聞のメリット。絵やクイズも入れて一緒に楽しむことで、情報や思い出を共有できるようになった。
「震災新聞」
(指導内容)震災関連の記事を切り抜き、自分と他者の感想を比べた。応援メッセージなどを書き込んだ壁新聞を作り、被災した岩手県大船渡市の小学校に贈った。
(効果)人を思いやる心を育み、自分と人の意見を比較することもできるようになった。
「伝記新聞」
(指導内容)歴史上の人物や著名人の伝記を読み、それぞれの生涯と読後の感想を新聞のスタイルにまとめた。
(効果)本の内容を読み取り、偉人らの生き方を学んだ。短くまとめて人に伝えることで、表現力も養えた。
「わがまちたんけん」
(指導内容)班ごとに駅前などを訪れ、施設や店舗などの様子を調査。分かったことと感想をまとめ、写真と組みあわせて新聞を作った。
(効果)地元のなし園や市の浄水場などの見学でも実践を続けるうち、「人に伝える」ことを意識し、内容を見出しで表現できるようになった。
 
紹介された優秀作品
なでしこに感謝
なでしこに感謝小椋照大君
 東京都渋谷区の小学3年小椋照大(おぐらしょうだい)君(9)は、7月のサッカーの女子ワールドカップドイツ大会で初優勝し、日本中を沸かせた日本代表(なでしこジャパン)を取り上げた。
 東日本大震災の被災地、岩手県出身の岩清水梓選手が試合終了後、「共に歩もう!東北魂」と書き込んだ日の丸の旗を広げてピッチを歩いたエピソードを切り抜き、「被災地の人たちも多分、ありがとうと言っていると思います」と感想を添えた。両親も「素晴らしいプレーありがとう」「日本人で良かった」とコメントを記した。
 
双子で「発電所」考
小6 早川知希・直希君 双子の兄弟で参加した千葉県流山市の小学6年、早川知希君(11)=写真上=と直希君(11)=同下=は発電所をテーマに選んだ。
 知希君は、大手商社が被災地復興の足かがりに岩手、宮城、福島の3県に大規模な太陽光発電設備の建設を計画している記事を紹介。震災で打撃を受けた福島第一原子力発電所に関心を持つ直希君は、風力や地熱など原子力以外の発電手段の長所や短所をまとめた記事を集め、「危険なら、原発を減らして良いと思う」と話していた。母親の麻里子さん(48)は「これまで気付かなかった子どもの側面を知ることができた」と目を細めていた。
 
大好きな賢治の詩
大好きな賢治の詩武部桃香さん
 「大好きな賢治の詩が、被災者の心の支えになっているのがうれしかった」と話すのは、横浜市保土ヶ谷区の中学3年、武部桃香さん(14)。
 被災地の避難所などで、岩手出身の詩人、宮沢賢治の代表作「雨ニモマケズ」を朗読する動きが著名人の間に広がっていることを伝える記事を切り抜いた。母親の有希江さん(45)も、思春期の娘の親の気持ちをユーモラスにつづった自作の詩「反抗期ニモマケズ」を寄せ、アクセントを添えた。
 
悲しみ乗り越えて
悲しみ乗り越えて長倉希空さん
 茨城県取手市の小学3年長倉希空(のあ)さん(9)は、東日本大震災で被災し、営業を再開した福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」の記事を選び、ここに「かなしみを乗りこえて」という印象深い見出しをつけた。
 「海の生き物が好きなのでこの記事を選びました」という長倉さんは、全国の水族館からうちの魚を展示してくれという申し出があったという内容に「すごく良かった」と笑顔で話した。「記事に合った感想を書くところが難しかった。夏休みの自由研究ではもっといい物を作りたい」と意欲をみせた。
 
節電と「暑い夏」
節電と「暑い夏」市村彩季さん
 「冷たいタオルを首にまいてできるだけクーラーをつけないようにしている」と家での節電について語る、埼玉県新座市の小学4年、市村彩季(さき)さん(9)は、「最初は節電のことが気になり、もっと節電のことが知りたいと考えたが、そこから話を膨らませて『暑い夏』をテーマに選んだ」と話す。
 スクラップ帳には、15%の節電について触れている漫画のほか、熱中症のイラストや、うちわが見直されている話、ラジオ体操の話、夏野菜のチゲ鍋の写真が貼られ、元気な夏の過ごし方を紹介するにぎやかな作りが目を引いた。
 
回転ずしの広告から
斉藤健治君  回転ずし店の広告を題材にしたのは、千葉県松戸市の中学1年、斉藤健治君(12)=写真=だ。たくさんの握りずしが並んだ写真を見て、「おいしそう。絶対にこれがいい」と選んだ。広告から、すしの写真を切り取り、別の広告と組み合わせて、女の子がすしを食べようとしているような構図。広告には、すしの材料の産地も記されていたため、別の記事に使われていた東日本の地図を貼り付けた。兄の中学2年、雄輝君(14)は「僕は食べたいけど、中には産地の放射能汚染が気になる人もいるかも」と話していた。


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