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| フジツボが付いたくいを興味深く触る女子中学生ら(撮影・川口武博) |
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大型連休最終日の5月8日正午。干潮時刻を迎えた愛知県の「藤前(ふじまえ)干潟」で、水鳥のさえずりがにわかに高まった。潮が引いて現れた遠浅の土の上を、茶色いチドリがちょこちょこと歩き回り、泥の中の生き物をつついて食べている。
藤前干潟は、名古屋港に注ぐ庄内川(しょうないがわ)などの河口部に広がる。南半球オセアニアで越冬したシギやチドリ類などが、繁殖(はんしょく)地のシベリアやアラスカまで行き来する途中に立ち寄る中継地だ。貝やゴカイなど130種類を超える生物がすみ、渡り鳥はそれらを食べて、長旅に向けて準備をする。
8日は、NPO法人「藤前干潟を守る会」の観察会が行われ、親子連れなど約30人が周辺のごみを拾った後、干潟に入った。名古屋市の金城学院中学の3年生12人も足首まで泥(どろ)に埋まりながら、シジミやアナジャコを手にとって観察。出町美央さん(15)は「泥の感触が心地よかった」、畔柳(くろやなぎ)亜衣さん(15)も「貴重な鳥が多かったので、また調べに来たい」と笑顔を見せた。
「ここは、生き物たちにとって、最後のとりでなのです」。「守る会」の辻淳夫(あつお)理事長(66)は胸を張る。
名古屋市は、増え続けるごみの最終処分場として、かつて藤前干潟の埋め立てを計画した。だが、辻さんら市民が約15年にわたって反対運動を展開、1999年、市は計画を断念した。直後に市では「ごみ非常事態」を宣言、分別回収などを徹底し、2年間で2割のごみ削減に成功した。
こうして守られた藤前干潟は2002年11月、水鳥の生息地として保全すべき世界的に貴重な湿地と認められ、323ヘクタールが「ラムサール条約」に登録された。
「愛・地球博」(愛知万博)が始まった3月には、渡り鳥を観察したり干潟の仕組みを学ぶことができる2つの施設を、環境省が藤前干潟近くにオープンさせた。
都市部の干潟は、ごみ処分場などの造成計画や、上流の川で捨てられて漂着する大量のごみによって、存亡の危機にさらされている。辻さんは「私たちが日常生活の中で排出するごみが、干潟の自然を脅かしている現実を真剣に考えなければならない」と訴えている。 |
| (平しの) |
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