「超急カーブ」と書かれた路面表示 超急カーブ
「超急カーブ」と書かれた路面表示(東京・檜原村で、本社ヘリから)=源幸正倫撮影
二輪事故防止に効果
「若者言葉」を取り入れて、交通安全や子どもの読書推進を図っている例もある。
 東京都檜原(ひのはら)村。檜原街道を役場から山間部へ進むと、急カーブを知らせる「超急カーブ」の路面表示が3か所に設けられている。
 この急カーブ地点には、「死亡事故発生現場」の看板があり、花束が供えられていた。昨年3月、バイクで走行中の男子高校生が急カーブを曲がりきれずに転倒、反対車線を走っていた乗用車にはねられる死亡事故が起きた場所だ。
 檜原街道とその先の奥多摩周遊道路は、スリルを味わえるカーブも多いとあって、週末はバイクの若者でにぎわう。事故の数日後、地元の五日市警察署は、若者言葉「超(チョー=「とても」の意)」を使った「超急カーブ」の路面表示などで事故を防止することを、道路を管理する東京都建設局西多摩建設事務所に要請した。
 しかし「超」は、法に基づく表示マニュアルに載っていない。前例もないからと、「急カーブ」の表示が設けられた。しかし、間もなく要請は受け入れられる。「若者の交通事故が減るのならと、事務所の判断で採用できる法定外表示として『超』を路面に書き加えたのです」と同事務所補修課長の中山哲さん(59)。「お役所言葉」にしばられない対応は、成果を上げ、昨年4月の路面表示後、事故のあった急カーブ地点で重傷以上の大きな交通事故は起きていないという。

翻訳作品で「マジ」

西田佳子さん
モアイが立ち並ぶイースター島
翻訳の工夫について語る
西田佳子さん
 海をわたってアメリカ。父の再婚相手の陰謀(いんぼう)を逃れるため、姉とニューヨークの家を飛び出し、偽名(ぎめい)を使って、遠い田舎町で暮らす女子高生、ソフィーの物語は、日本でも翻訳され注目を集めている。米国発のYA(ヤングアダルト)本「ミッシング・パーソンズ」シリーズ(M・E・ラブ作、既刊2巻)だ。ソフィーは驚いた時に「マジ?」と言う。「……ていうか……」「……じゃん」も口癖(くちぐせ)だ。
 訳者の西田佳子さん(41)によると、英語の原書にこうした若者言葉は登場しない。しかし翻訳版では、「『都会育ちで元気な女の子』のキャラクターをはっきりと出すのに、若者言葉はうってつけで、文章のリズム感もよくなりました」という。
 このシリーズは、姉妹の恋愛が進行していく様子や、いつ正体がバレるかと不安がる心理の描写が巧み。そんな原作の面白さとともに、翻訳の工夫から生まれる「親しみやすさ」も人気の理由だろう。「厚い本を読むのは初めて」「あっという間に読み終えた」などのはがきが出版元の理論社(東京)に寄せられている。
 恋愛ものなど軽いタッチのYA本は、あまり本を読まないタイプの中高生にとって、読書の「入り口」と言える。
 「若者言葉を取り入れた作品を通して、本好きの10代が増えてくれれば」と話すのは、同社編集部長の小宮山民人さん(43)。ただ「すぐに消えてしまう言葉は、5年、10年と生き残ってもらいたい本には向かない」とも。文学の中での若者言葉は、扱いの難しい「微妙」な存在のようだ。