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[第3部・中国](下)四川復興へ 今は練習のみ

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ウィンブルドン選手権でベスト4に進出、旋風を巻き起こした鄭潔=松本剛撮影

 「川妹子(チュワンメイズ)(四川娘)またも勝つ」。テニス・ウィンブルドン選手権女子シングルスで、1メートル64の小柄な鄭潔が、1メートル80を超える女子選手たちを次々と倒す快進撃に、中国人の関心が集まった。アジア勢としては伊達公子以来の四大大会4強という快挙だった。

 25歳の鄭潔はすでに、ダブルスで四大大会2冠の実績があるが、これまで以上の注目を集めたのは、彼女が四川大地震の被災地・成都出身だったからでもあった。「私は四川で生まれ育ち、家族も友人もいる。被害にあった人たちが早く、新たな家を建てられますように」。鄭潔は、今回の賞金19万5500ポンド(約4100万円)のほとんどを震災地に寄付すると宣言した。

 四川省から1000キロ以上離れた、広西チワン族自治区の南寧。地元の体育訓練基地で、レスリング・グレコローマンスタイルの四川省代表20人が練習していた。省内の練習施設は震災で大きな損害はなかったが、各競技の四川省の選手たちは、練習に集中するため、四川体育局の手配で、国内15都市の訓練施設に受け入れてもらっている。

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練習をする謝洪全。謝を始め、チームの20人中14人の選手が大地震があった四川省出身(南寧市で)=尾賀聡撮影

 55キロ級の謝洪全(22)は、壊滅的な被害を受けた茂県の出身。震災の5月12日は、成都で練習中だった。実家には父母ら家族7人がいた。携帯電話で連絡を取ろうとしても、全くつながらない。現地から伝わってくるのは、悲観的な情報ばかり。焦りが募った。

 それでも、練習は続けられた。鄭拉格コーチ(36)は「きっと大丈夫だ。今できるのは、練習に集中することだけだ」と励まし、練習中は、代わりに実家へ電話を入れ続けてくれた。1週間後、ようやく連絡がついた。家は全壊したが、家族は無事だった。

 しかし、そのまま5月25日に南寧に移り、テント生活を送る家族を見舞うことはできずにいる。「本当は故郷でボランティアなど手伝いをしたい。しかし、自分は選手で、国と省のために練習をするのが本分だから」と目を伏せた。

 謝洪全は2006年全国2位で、北京五輪代表の有力候補だった。しかし、昨冬に右腕を負傷、五輪出場は夢と消えた。7月からは、好敵手だった代表選手のスパーリングパートナーを務めるため、北京に赴く。

 震災以来、北京五輪関連のイベントには必ず、「四川頑張れ」のスローガンが加わるようになった。北京五輪の中国選手団は、600人規模とされる。このうち、四川省の選手は約70人が加わる見通しだ。

 四川大地震による死者は7万人近く、行方不明者はまだ1万8000人以上もいる。国民の間で複雑な思いが交錯する北京五輪は、8月8日に幕が上がる。(中国総局 竹内誠一郎)(終わり)

2008年7月11日  読売新聞)
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