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<8・13>中国棒球事情(下)スポーツ界の「明星」日本へ来た中国の若者たちは、日本のテレビ番組を見て驚くという。母国で大人気の欧州サッカーリーグや米国バスケットボールの試合を、地上波ではほとんど放送していないからだ。 中国では、CCTV(中国中央電子台)などの地上波テレビが、イタリアの「セリエA」やドイツの「ブンデスリーガ」といったヨーロッパ各国のサッカーリーグや米国「NBA」の試合を定期的に放送している。 その歴史は浅くない。中国で放送が始まったのは1970年代から80年代にかけてのこと。改革開放路線に乗って視聴者を増やし、それまで「スポーツ=体育、健康づくり」だった中国に、観戦やビジネスの対象としてのスポーツを根付かせた。 一方、米MLBなど野球界が、中国市場に強い関心を示し始めたのは近年のこと。大リーグで年俸数十億ドルを稼ぐプレーヤーたちも、ここではほとんど無名の存在だ。サッカーのロナウジーニョやバスケットボールのコービー・ブライアントら「明星(ミンシン=中国語でスターの意味)」との差はあまりに大きい。 「蛙王」に続け!だが、五輪という歴史的大イベントを機に、中国スポーツ界に新しい分野の「明星」が生まれる可能性もある。 オリンピック開会直後、北京市内の飲食店で新聞を開くと、一人の日本人選手についての特集記事が組まれていた。ダイナミックに水をかき分ける姿に「蛙王(平泳ぎのチャンピオン)」の活字。競泳の北島康介(25)だ。 記事には「新型のサメ肌水着(スピード社製レーザーレーサーのこと)」を着用することや、中国人女性選手とのロマンス(?)の類までが、詳細に報じられていた。男子100メートル平泳ぎで金メダルを獲得した11日夜には、テレビ番組で「(欧米選手に比べ)小さな体で世界新記録を出した素晴らしい選手」と称えられた。 大舞台で思う存分に実力を発揮し、不利があっても動じない。そんな強さを備えた選手に人はあこがれ、一挙手一投足にまで熱い視線を送るようになる。純粋な「ファン心理」に、国や競技の境はないのだ。星野ジャパンの戦士たちも「蛙王」に続くチャンスは十分にある。 野球人たちの期待きょう13日午後7時(日本時間同8時)、星野監督率いる野球日本代表が、いよいよ五輪の初陣に臨む。前日会見で指揮官は「我々がガキのころから学んで来た野球をやればいい。それは基本に忠実な野球、正々堂々とした野球だ」と話した。 その戦いぶりは、見る者の心に何を刻むのだろうか。中国の野球人たちを練習場に訪ね、五輪野球への期待を聞いてみた。 「ホームランが見たい」(北京市内の小学生、邱●之君=10歳)「中国での野球普及につながる素晴らしい戦いを望む」(少年野球のコーチを務める杜健綱さん=36歳)。さらには「野球の五輪競技復活」(北京市の中学副校長、汪宏駒さん=59歳)。 日本のファンの思い、そして、野球を愛する世界中の人々の思いを背に、星野ジャパンが最初の1歩を踏み出す。(メディア戦略局編集部・久保田稔) (2008年8月13日 読売新聞)
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