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(16)楽しみに待つ仕上がりの結果

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シーズンインとなる5月10日の国際グランプリ大阪大会に向け、ジョッグする末続

 雨にたたられた4月6日までの東海大沖縄合宿だったが、それでも、必要な練習はできたという。

 7日からの4月第2週は、当然のごとく、休養の週。なかなか、末続慎吾の話を聞くことができなかったのだが、ようやく土曜日にOKとなった。その日、平塚に近づくにつれて、雨が降ってきた。練習をやめてしまうのではないかと心配しながら、グラウンドに着くと、誰もいない。だいたい午前10時ころから始まるのに、その日は東名高速が混んでいて、10時半近くになっていた。

 どうしようか、構内を探そうか、と思っていたら、車で本人が迎えにきてくれた。

 「今日は、体育館です」

 彼の車についていいって、体育館へ。そこでは、何人かのOBが練習していた。4月1日に富士通に入社した100m10秒15の男、塚原直貴もきていた。

 「今日、寝坊しちゃいまして、やばい、と思って、末続さんに、電話したら、末続さんも、寝坊しちゃって、いま起きたばかりっていうんで、助かりました」

 「ほんと、寝坊しちゃいました。珍しく」

 「ほんと、珍しいですよね。末続さんが、寝坊するの。まず、遅刻はないですからね」

 そのとき、パリ世界陸上銅メダル後に、熊本市の実家に取材にいったときの、末続・母の言葉を思い出した。小学校の高学年の頃の話。

 「夜、遅くまで、よく、勉強する子でした。成績も、人さまに通信簿をお見せしても、恥ずかしくはないものを持って帰っていました」

実は意地っ張りでガリ勉

 陽気で、明るく、やんちゃなイメージもある末続慎吾だが、実は、ガリ勉系。意地っ張りの肥後もっこすだから、幼稚園のころから足が速いことでは、ずば抜けていたというが、勉強でも、負けたくなかった。夫婦で理髪店を経営していた両親は、なかなか運動会での息子の雄姿を見ることができなかったという。小学生の低学年のころ、ようやく都合をつけて見に行った。

 「慎吾は、速いことは、速いんですけど、何か、こう、どういうんですか、すごく、きたない走りをしていて、いやでした」

 母が、こう話してくれたのが、印象に残っている。それから、20年、その「きたない走り」を、肥後もっこすの、もっこす魂で、自らを改造することにより、コンパクトで、無駄の少ない「きれいな走り」に変貌させてきた。

 体育館の2階席に陣取って、話を聞いた。その日は、東海大・日大の対抗戦が町田市の野津田競技場で開かれていた。そこに後輩の学生たちや、いつも一緒に練習する韓国からきたキム・ジングクらが出るので、これから、応援に行くという。その前に取材。

沖縄合宿で好タイム

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世界陸上惨敗へのリベンジは北京五輪でのメダル。8月、この笑顔が見られるか

 「沖縄は、天気はよくなかったですけど、練習は順調にいきましたよ。まあ、いい練習、できたと思います」

 「この前の沖縄合宿のときのように、強烈なインパクトがあった練習、今度もあった?」

 「そうですね。250の練習で、26秒2か3というタイムが出ました。250mなんで、ちょっと、ピンとこないかもしれませんけど、これ、ちょっと、半端じゃないタイムですよ。200mにすると、20秒5ぐらいの感覚になると思います」

 ちなみに、26秒2×200m/250mを計算してみると20秒96となる。50m長いぶん、当然、スピードは落ちるから、200mにすれば、20秒5ぐらいの価値があるのだろう。練習で、そのタイムが出るのは確かにすごいかもしれない。

 「3本やった3本目で、そのタイムが出たんです。試合前のタイムトライアルで、出るかどうか、というタイムです。でも、筋肉痛がくるかなと思ったのに、こないんです」

 「こんなに練習していても、筋肉痛がくることあるの?」

 「まあ、どこかの筋肉が痛いというのではなくて、全身的な疲労感というか、ダメージがくるんです。それが、こないというのは、どういうことなのか」

 「それだけ、レベルが上がっていて、これからもう少し仕上げて、筋肉痛が出るような練習をすると、もっといいタイムが出る」

 「そうであれば、いいのですが。もしかしたら、これまでの練習の流れに、どこかよくないところがあって、そうなるのか。まあ、これからです。まだ最初のレースまで4週間、ありますから。そこで仕上げていくなかで、分かってくると思います。でも、今の気持ちとしては、どうなるか、楽しみでは、あるんです」

 信じられないような状況となった昨年の大阪世界陸上から1年、8月の北京五輪で、そのリベンジを果たす。そのシーズンは、5月10日・国際陸連グランプリ大阪大会、世界陸上と同じ舞台、長居競技場で始まる。

 末続は、その時がくるのが、楽しみだという。(陸上ライター・石井信、写真も)(おわり)

2008年4月15日  読売新聞)
 
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