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(27)省エネ設計で明るく涼しいレスリング会場日本の“メダル量産”種目といえば柔道とレスリング。中でも女子レスリングはアテネ大会メダリストの4選手が北京大会にも出場するとあって、いやがうえにも期待も高まります。会場は、昨年完成したばかりの「中国農業大学体育館」。天井の窓の数は約400もあるという省エネ設計の建物なのです。 大会の1年前に早々と完成レスリングの五輪会場「中国農業大学体育館」は、北京市西部の海淀区にある中国農業大学内に昨年8月に完成しました。レスリングのプレ五輪大会は会場が出来上がった直後の8月21日から26日にかけて開催されました。世界ジュニア選手権も兼ねたこのプレ大会に、私は観客として会場を訪れました。 体育館は、北京五輪のメーンスタジアム「鳥の巣」から北西に約2キロの場所にあります。地下鉄13号線・五道口駅からはタクシーで約10分ほどですが、私は約40分かけて歩いて会場に向かいました。というのも周辺の道は、それまでずっと工事中で、朝夕のラッシュ時にはほとんど車が動かない渋滞エリアだったからです。試合はちょうどラッシュ時。歩いたほうが早いと判断した訳です。しかし、昨年8月のプレ五輪時にはすでに拡張工事が完了し、片側3車線の真新しいコンクリートの道に生まれ変わっていました。渋滞も大分解消されていました。 巨大な毛沢東像がお出迎え大学構内に入ると、まず巨大な毛沢東像が出迎えてくれます。この光景は、中国の大学では珍しくありませんが、初めて訪れる日本の方はきっとその迫力に驚かれると思います。中国ならではの光景を目にし、緑あふれる構内をしばらく歩いていくと、五輪のマークを中央に模した近代的な体育館が見えてきます。新しく完成した体育館は大学構内のほぼ中心に位置し、「山」のような三角形の近代的な建物でした。 体育館の建築面積は約2万4000平方メートル。ウォーミングアップ会場と競技会場に分かれています。メーンの競技会場は、地下1階・地上3階建てで、座席数は8500。それぞれの座席にペットボトルを入れるホルダーがついていて、とても便利です。 プレ五輪が開催されたのは昨年8月下旬の最高気温が40度近くまで上がる大変蒸し暑い時期でしたが、館内はクーラーが適度に効いており快適そのもの。しかも完成したばかりで真新しく、とてもきれいでした。特にプレ五輪大会の中でも、早い時期に会場になっただけに、会場の掃除に“気合”が入っていました。清掃員の人数も多く、観客が通るたびにロビーの床をモップがけしていたのが印象的でした。 「緑色奥運」を生かした会場この体育館は五輪本番ではレスリング競技に、9月のパラリンピックでは車いすバレーボールの会場になります。五輪後は大学の体育館として体育の授業や式典、行事などに使用されます。 特徴的なのは、北京五輪のスローガン「環境に優しいオリンピック(緑色奥運)」を意識した省エネ構造になっていること。中国メディアの報道によると、天井に約400個もの窓を取り付けており、日中は窓から差し込む自然光で電気をつけなくても十分明るくなるそうです。窓を開ければ風通しもよくなり、クーラーなしでも十分涼しいというのです。プレ大会では夜の試合を観戦したので、省エネ設計の効果は体感できませんでしたが、本大会でレスリングを見に行く方は天井を見上げれば、おびただしい窓の数に驚くはずです。 一方のウォーミングアップ会場ですが、五輪後はプールに生まれ変わり、学生だけでなく一般にも開放されます。大学構内の地下をボーリングし湧き出た地熱水で温水プールとしても利用されます。 8月の五輪に向けて、北京市内にはさまざまな施設が新しく作られています。五輪後、その施設をどう活用するかについて、綿密な計画が立てられています。特にこの中国農業大学は、これまで体育館がなかっただけに、大学のスポーツ施設や市民の憩いの場として、使用頻度も高まりそうです。 (2008年6月17日 読売新聞)
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