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(30)生まれ変わった“老”体育館「ゴンティ」著名建築家の手になる最新機能を備えた五輪会場の中で、「工人体育館」はなんと半世紀近くも前の建物。北京っ子に親しまれてきた「ゴンティ」(愛称)は、もはや“遺物”と思いきや、改修工事で内部は新築同然に生まれ変わっていました。 北京の変化を見つめて半世紀五輪のボクシング、パラリンピックでの視覚障害者による柔道の会場となる「工人体育館」は、1961年完成の約半世紀の歴史を持つ体育館です。サッカーの予選会場である、お隣の工人体育場とともに、これまで数々の大規模コンサートやイベントが開かれてきました。老朽化が進んでいたため、2005年末から大規模な改修工事が始まり、昨年11月のプレ五輪大会で生まれ変わった姿が一般公開されました。私もこの時に会場を訪れました。 「工人」とは中国語で工場労働者を指します。社会主義国の中国では労働者が国の主人公とされ、その労働者のための体育館として、当時の最高レベルの技術で建てられました。「工人体育館」は中国語で「ゴンレン ティーイーグァン」と発音します。略称「ゴンティ」は愛称となり、長く親しまれてきました。 「ゴンティ」のこけら落としは、1961年4月4日に開催された「世界卓球選手権」です。周恩来、ケ小平など国家指導者が多数出席した開幕式は盛大なものでした。当時、中国は大変貧しく、全国的な飢餓に襲われていましたが、大会での中国選手の活躍、そして立派な体育館は国民に大きな希望を与えたのでした。 それから約半世紀。泥だらけの道はアスファルトに、荷車を引くロバや自転車が高級自家用車へと、北京の街は大きく様変わりしました。現在、「ゴンティ」周辺は高級レストランやブティックが立ち並ぶおしゃれなスポットとなっています。 大規模リニューアル大規模リニューアルを終えた工人体育館ですが、円柱形の外観はそのままに、オリンピックの開催規定に合うよう様々な改良工事が行われました。 地下1階、地上4階建てで、外壁は環境に優しい塗料で白く塗り替えられ、窓ガラスもすべて新しく取り替えられました。観客席は全て交換されて1万3000席に増えています。このほか車いす用シートや記者席、貴賓室の設置、そして給水、排水系統、電気系統、通風設備などの改良工事が行われました。中でも力を入れたのが耐震強化工事です。震度8レベルの大地震にも耐えられるといいます。また、会場外に新たに西門が作られ、400台分の駐車スペースが増設されました。 会場を訪れた際、基本的な外観が変わっていないので、「歴史があるというか、やはり古いな」と感じました。ところが、ロビーに入るや、ピカピカに磨き上げられた床、まぶしすぎない照明、そして開放的な雰囲気に清々しさを覚えました。 360度の観客席、天井の☆がクール会場に入って真っ先に目に入るのが、会場中央に取り付けられた八角形の星がデザインされた「天井」部分(というか、天井からぶら下げられたものなんですが……)のシートです。これは弾力性のある吸音シートで、会場内の無駄な音ぶれなどを防ぐ音響効果(この言い回しで分かりますか?要は変に音が響きすぎるのを防いだりする効果のことです)があるといいます。色、デザインともにクールで、視覚的にもよいアクセントになっています。 また、中央のステージを取り囲むように、座席が設置されており、どの席からでも観戦しやすくなっています。またステージとの距離も近いので、選手を間近に感じられます。 ボクシングは、8月9日から24日まで、工人体育館で11種目が行われ、日本からはフェザー級の清水聡選手、ライトウェルター級の川内将嗣選手の2人が出場します。 「ゴンティ」は市の中心部にあり、周辺には人気のレストランやクラブなどが集まっています。北京を訪れ、近くを通る際には、北京っ子に親しまれてきたその姿をぜひ一目見ていってください。
(2008年6月27日 読売新聞)
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