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(43)力強い聖火が鳥の巣に燃える 開会式リポート第29回夏季五輪北京大会の開会式が、8月8日午後8時(日本時間午後9時)から約4時間にわたって国家体育場(愛称・鳥の巣)で行われ、24日までの17日間にわたるスポーツの祭典が幕を開けました。大変な盛り上がりを見せた開会式の様子をリポートします。 静と動を使い分けた巨大絵巻開会式スタートの20分前、約9万人を収容する鳥の巣の座席はほぼ埋まり、開幕を今か今かと待つ観客の熱気にあふれていました。ボランティア学生の掛け声にあわせ、ウエーブや「加油!(がんばれ!)」といった掛け声がスタジアム全体に飛び交います。 60、50、40……、カウントダウンがスタート。9万人の観客のかけ声が、大きなうねりとなって押し寄せてきます。3、2、1……、鳥の巣が燃え上がってしまうような爆裂音とともに、花火が豪快に打ち上げられ、北京五輪の開会式が始まりました。 地をはうような太鼓の音が響き渡ると、中国を代表する映画監督、張芸謀氏が総監督をつとめるショーが始まりました。中国の伝統をベースにした約1時間のパフォーマンスは、お腹の底まで響いてくる重低音をベースに、光と色をうまく合わせた、派手でいて下品でない演出。まるで映画の世界に入り込んだかのような感覚です。静と動を使い分けた巨大な絵巻物。気がつけばあっという間に時間が過ぎていました。 「フーユェンアイ!」大人気午後9時、選手の入場が始まりました。先頭のギリシャから入場し、日本は23番目に登場です。旗手を務める福原愛選手には、スタンドから「フーユェンアイ!」(福原愛の中国語読み)と多くの声援が飛び、私の周囲ではその愛くるしい姿を是非、自分のカメラに収めたいと、前方に走っていく人たちの姿が多く見られました。 日本の次の台湾に対する声援はさらに大きく、割れんばかりの拍手が会場内に鳴り響きました。このほか声援が大きかったのは、香港、ロシア、北朝鮮、イラク、アフガニスタン、そしてアメリカなどでした。 入場行進のトリは、開催国の中国です。中国代表の入場が近づくとウエーブが起こり、会場が色めきたってきました。旗手を務めるバスケットボールの姚明選手、そして四川大地震で大きな被害を受けた被災地の子供を先頭に選手団がスタジアムに姿を現すと、観客は総立ち。鳥の巣が揺れるほどの「中国、加油」の大歓声が響きわたりました。 入場行進は2時間ほど続きましたが、終始ノリのよい音楽が流れ、心が躍りました。ただ、日本の選手団は早めに入場したので、選手の皆さんは行進を終えてから約1時間半ほど、蒸し暑いスタジアムの中央で立ったまま待たねばならず、体力を消耗したように見えました。 聖火は中華料理の火のようにその後、胡錦涛国家主席による短く、力強い開会宣言が行われた後、世界各地で大きな話題となった聖火が、鳥の巣に入ってきました。スタジアムを一周したあと、最終ランナーの李寧さんの手に聖火が手渡されます。李寧さんは中国人なら誰もが知っている80年代の体操選手で、現在はスポーツ用品メーカー「李寧」のカリスマ経営者として広く知られています。隣に座っていた中国人大学院生は「この選択はもっともだ」と話していました。 その李寧さんが、ワイヤーロープにつられて天に浮き、鳥の巣の壁を一周し、聖火台に点火すると、聖火は勢いよく燃え始めました。聖火は本当に力強く、火力の強い中華料理の本場と思わせるような大きな火です。その後、花火が盛大に打ち上げられ、4時間にわたる開会式が終了しました。 厳戒五輪、無事開幕に胸なで下ろす今回の北京五輪は、スポーツの祭典という意味合いだけでなく、中国での開催ということに注目が集まっている大会です。 福田首相をはじめ各国首脳が一堂に会するとあって、8日は市内全体に厳戒態勢が敷かれていました。多くの企業は休暇となり、驚くほどに道がすいていたほか、鳥の巣周辺にはチケットを持っていない人は近づくことも出来ない状態でした。観客席にも1列おきに青いポロシャツを着た鋭い目線の軍人さんが待機していました。 テロが起きることなく、心配されていた雨も降らず、私自身もよかったと胸をなでおろしています。自国での開催を誇らしく思う中国人の熱気を肌で感じることができ、熱くこみ上げてくるものを感じました。また、張芸謀氏による演出も、さすがとうならせる素晴らしい内容で、大満足の開会式でした。 あとは、日本選手団の活躍に期待するのみです。これから17日間の熱戦を熱く応援していきたいと思います。 (2008年8月9日 読売新聞)
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