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(60)「オレは最強だ」 車いすテニス「金」の国枝選手

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表彰式では飛びきりの笑顔を見せた国枝選手

 「オレは最強だ」――車いすテニス男子シングルスで優勝した国枝慎吾選手(24)はこう書き込んだラケットを何度も見つめて、心を落ち着かせたそうです。

天を仰いで涙、涙……

 15日の車いすテニス男子シングルスの決勝で、国枝選手(24)はオランダのアメルラーン選手(40)を2−0のストレートで破り、念願の金メダルを獲得しました。

 「4年間、過酷でした」――決勝でアメルラーン選手を下すと、国枝選手は天を仰いで涙を流しました。4年前のアテネ大会ではダブルスで金メダルに輝いたものの、シングルスではベスト8の成績。昨年は男子で史上初めて年間グランドスラム(4大大会制覇)を達成するなど結果を残し、「すべてはパラリンピックでの金メダルのため」と、厳しいトレーニングに取り組んできました。

 決勝では、いつものようにミスターチルドレンの曲を聞きながらセンターコートに入ってきました。全てのラケットに「オレは最強だ」と書き込み、試合中、何度もラケットを見て心を落ち着かせました。決勝の試合時間はわずか55分。国枝選手は、シングルス全ての試合を1セットも落とすことなく、圧倒的な強さで金メダルを手にしました。

硬く、黒ずんだ手

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ダブルスでは銅メダルを獲得。表彰式後、斎田悟司選手(右)とコートを1周

 小学4年の時に脊髄(せきずい)の腫瘍で車いすの生活となり、6年になってから母親の勧めでテニスを始めた国枝選手。「健常者の人がテニスをやりたいと思うのと同じように、僕はただ車いすに乗っているというだけです」と話し、「これを機に、車いすテニスの注目度が高まれば、やってきたかいがあるなと感じます」と笑顔で話しました。

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国枝選手の手のひら。車いすを操る左手は特に黒くなっていました

 海外のメディアを含め10数人が囲んだ表彰式後の取材。海外の記者の質問にも英語で丁寧に答えていました。その後、国枝選手に手のひらを見せてもらいました。時速120キロを超えるサーブを繰り出す右手、そして車いすを操る左手。皮は硬く、特に左手は黒ずんでいます。「いつもはもっと(黒い)ですよ」と笑いました。その後さらに、ファンが求めるサインや記念撮影に応じ、テニス場を後にしたのは試合終了から2時間近くたってからでした。

 「オレは最強だ」――ラケットに書き込んだ言葉通り、国枝選手はここ北京の地で、世界「最強」のプレーヤーになりました。

2008年9月17日  読売新聞)
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