あん馬での落下、物怖じせぬ姿勢で回復…「銀」の内村
体操個人総合で銀メダルを獲得し、日の丸をまといながら笑顔を見せる内村航平=田村充撮影
体操ニッポンに個人総合24年ぶりの五輪メダルをもたらしたのは、年号が平成に代わる直前に生まれた19歳の内村航平(日体大)だった。
メダルへの道のりは平坦ではなかった。得意のゆかで好スタートを切ったが、続くあん馬で2度落下し、22位まで後退。それでもあきらめずに5種目終了時点で4位につけた。
最後の鉄棒では、3連続の手離し技で観衆を沸かせて力強いガッツポーズ。15・400点を出し、電光掲示板のトップに「内村航平」の名が躍り出た。最終演技者の王者・楊威(中国)には抜かれたものの、日本のエース冨田洋之(セントラルスポーツ)らを抑えての銀メダル獲得。寄せ書きで埋め尽くされた大きな日の丸を肩にかけ、屈託のない笑顔でポーズを取った。
両親は長崎・諫早で体操教室を開き、幼いころから競技に親しんだ。東京・東洋高時代には高校選抜、全日本ジュニアの2冠に輝くなど素質は認められていた。ただ昨年は世界選手権代表には届かずに、ユニバーシアードに参戦。そこから1年経たないうちに急成長を見せ、五輪のメダリストにまで登り詰めた。
予選、団体決勝を観戦した父・和久さん(47)が「楽しんでいて、のびのびとやっていた」と語るほど物怖じしない姿を見せた内村。この日の個人総合決勝でもその演技に変わりはなかった。楊威よりも9歳若く、これからが楽しみ。日本に限らず、世界で新時代を切り開いていく存在になることは間違いない。(メディア戦略局編集部・上堀慶)
(2008年8月14日16時26分 読売新聞)