LZR水着は「腕力」有利、日本勢苦戦か…専門家が指摘
世界新記録を連発、北京五輪で日本代表も使用可能になった英国スピード社の水着「レーザーレーサー(LZR)」について、泳法研究の専門家、河合正治工学博士は「抵抗の少ない美しいフォームを自然に作り出す水着」と分析、美しいフォームを磨くことで戦ってきた日本勢が五輪で苦戦する可能性を指摘した。
河合博士は、北島康介(日本コカ・コーラ)がアテネ五輪の男子平泳ぎで二つの金メダルを獲得するまで、北島の活動をサポートしていた「チーム北島」で泳法分析を担当していた。
同博士はLZRの強さの秘密を研究、「誰でも理想的なストリームライン(蹴伸び姿勢)が保てるように加工されていることが、他の水着との圧倒的な差を生んだ」と結論づけた。今月のジャパンオープンで、北島の二百メートル世界新を含めて着用選手から計16個の日本新が出たのに対し、他の水着では1個だった。
河合博士は「浮袋を空気で満たすと、最後は同じ形になるが、LZRも原理は同じ」と説明。伸縮性のないポリウレタンを素材にしたLZRの小さいサイズを選んで体を詰め込むように着用すると、「尻や腰骨等の凹凸がなくなり、流線形の水着の殻をかぶった状態」が形成されるという。
河合博士の研究によると、速く泳ぐために必要なのは、〈1〉きれいなストリームラインを形成して水の抵抗を少なくする〈2〉筋力を増すことなどで加速能力を向上させる――の2点。「加速は体の大きい欧米系選手が有利だが、日本勢は美しいフォームで抵抗排除能力を高め、岩崎恭子(バルセロナ五輪)、北島康介らが金を手にした」と分析する。
その上で、「LZRで、抵抗排除能力を向上させる努力が不要になる恐れがあり、腕力やキック力の勝る選手が有利。五輪も、世界新をマークした北島は別格だが、ほかの日本勢は大敗を喫する恐れがある」と危機感を訴える。
(2008年6月22日03時02分 読売新聞)