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警官3000人余の厳戒態勢、歓声と怒号飛び交う沿道からペットボトルが投げ込まれ、“欽ちゃん”の笑顔が消えた。 長野市の市街地で26日に行われた北京五輪聖火リレー。3000人余の警察官が厳戒態勢で臨む中、懸念された妨害行為や小競り合いも頻発。歓声を怒号がかき消す異様な空気が、萩本欽一さんや卓球の福原愛さんらが走り継ぐ華やかなイベントをのみ込んだ。 右手にトーチを持ち、沿道の観衆に向かってにこやかに手を振る第10走者の萩本さんの周囲に緊張が走ったのは、JR長野駅前。リレー開始から約20分後だった。 ペットボトルやビラなどが投げ込まれた瞬間、伴走する警察官が透明な盾で萩本さんをガード、萩本さんの表情はこわばり、隊列はしばらく止まった。中継地点では、ハイタッチを交わして女子レスリングの吉田沙保里選手に聖火をつないだものの、リレー後の記者会見で萩本さんは、「(自分も)笑顔ではなくなり、そういう自分はいけないと思った。僕にとって悔しい」と話した。 萩本さんは沿道の観客ともハイタッチしたいと考えていたが、厳重な警備に阻まれた。妨害行為については「警察の方が一気に横を向いて『欽ちゃん走り』になった」と冗談を飛ばし、五輪選手らと同乗したバスが「一番幸せだった」とおどけて見せながらも、表情は複雑だった。 「これほどがっちり警備されるとは」と驚いた様子を見せたのは、21番目に走った長野県上田市出身の岐阜大学3年生堀内拓也さん(20)。 市中心地からJR信越線のガードをくぐり郊外へ抜ける区間を走ったが、前後と両脇を中国人のセキュリティーランナーと警察官に取り囲まれ、視界に入るのは、背中や頭、前方のメディアカーぐらい。笑顔で声援を送る友人を1人見つけられたが、応援に駆けつけているはずの両親の姿は探し出せなかった。 ルートの途中、警察官から「もっと前に、前に」とペースを上げるようせかされた。「ついていくのがやっとだった」と堀内さんは振り返った。 第1中継点近くに住む主婦、松本昭江さん(75)は「五輪は平和のため。聖火リレーでこうしてもめるのはやめてほしい。やるならよそでやって」とうんざり顔。ルート沿いの長野市西尾張部の小松ミトシさん(90)は「せっかくの機会なのにランナーとの触れ合いを楽しめず、子どもたちがかわいそう。とんだ聖火になってしまった」と話した。 ゴール地点の若里公園でも、チベット支持者と中国人が物々しくにらみ合った。長野市の男性会社員(50)は「応援したいランナーがどこを走るのか分からないから仕方なくここに来たのだが……。こんな雰囲気で聖火リレーをやって何の意味があるのか」とあきれた表情で眺めた。 (2008年4月26日14時44分 読売新聞)
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