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リュージュ日本代表そり、素材は「魚沼製」

「バンクーバーでの活躍を」と期待する今井社長(右)=魚沼市の貫木産業で

 今月開幕するバンクーバー五輪で、リュージュ日本代表チームは、初めて国内で独自開発した新型そりを導入する。

 そのそりの、刃の土台となる部分に、新潟県魚沼市並柳の木材加工会社「貫木(つなぎ)産業」(今井幸吉社長)で作った素材が使われている。主にゴルフクラブのヘッドを製造している同社は、木の強度を高める技術で世界最高水準を誇り、リュージュ日本代表チームのコーチから、「ぜひ」と依頼されたという。

 イタリアやドイツなどリュージュの強豪国は、自前で高性能のそりを開発し、タイムを伸ばしている。一方、まだ競技人口自体が少なく、予算も限られている日本では、これまで、基本的に外国製のそりを購入し、使用してきた。

 今回、リュージュ日本代表チームは、バンクーバー五輪での上位進出を目指し、国内の技術を結集した新型そりの開発プロジェクトを実施。より速く、かつ、より安定感を増すためには、重心の低いそりを作ることが必要。座席を軽くする一方で、「クーヘ」と呼ばれる刃の土台部分を重くした、特製のそりを作ることとした。

 そのクーヘの素材の開発で、白羽の矢が立ったのが同社。従業員6人の町工場だが、木材に樹脂を浸透させて重く丈夫にする「含浸加工」で独自の技術を持つ。ほかのメーカーでは樹脂を木の表面にしか入れられず、含浸率は30%程度だが、同社は内部まで均等に染みこませ、最高75%まで注入できるという。

 リュージュ日本代表チームの高松一彦コーチが07年春、木質材料を専攻する知人の大学教授からこの含浸加工について聞かされ、新型そりに採用したい素材として注目。インターネットで調べるなどして、優れた技術を持つ貫木産業のことを知った。

 住んでいる札幌から、同社まで足を運び、「重くて丈夫なクーヘをつくってほしい」と今井社長(62)に依頼。今井社長は、リュージュについてはくわしく知らなかったが、高松コーチから写真を示されながら説明を受けるうち、イメージがわき、「うちの技術が役立つなら」と快諾した。

 同社は、従来のものに比べ重さ約1・6倍、弾力約2倍、かたさ約4倍のクーヘ開発に成功。ところが08年、高松コーチから「選手の命を守るため、必要なときは壊れ、破片も鋭利にならないように改良できないか」と再度注文が入った。そこで県工業技術総合研究所上越センターに相談。共同で実験を繰り返し、強度の違う3つの木材を接着してから含浸することで、「丈夫すぎる」という課題も克服した。

 バンクーバー五輪では、エースの原田窓香選手(信州大)と安田文選手(北海道連盟)が新型そりに乗る予定。昨年12月に長野市で行われた全日本選手権では、新型そり自体は使われなかったが、原田選手が貫木産業のクーヘを旧来のそりに装着して滑走、7連覇を達成した。

 今井社長は「うちの技術が世界に出るチャンスにもなる。ぜひ良い成績をあげてほしい」と日本選手の活躍に期待している。

 ◆リュージュ◆

 フランス語で「木ぞり」の意味。選手があおむけになってそりに乗り、曲がりくねった約1000メートルのコースを1分未満で滑降し、1000分の1秒までタイムを争う。時速120〜150キロだが、選手の体感速度は時速200キロに達するという。五輪では、日本は初参加の札幌大会(1972年)で、男子2人乗り4位、女子1人乗り5位入賞を果たしている。

2010年2月2日02時13分  読売新聞)
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