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着物女性や桜、桧野自前の美しすぎるソリ

3回戦でゴールした桧野(右)、浅津組=山本高裕撮影

 バンクーバー五輪は24日、ボブスレー女子2人乗り3、4回戦が行われ、日本の桧野真奈美(北斗病院)、浅津このみ(海野ビル)組は16位だった。カナダ勢が1、2位だった。

 着物姿の女性や桜を描いた日本のソリは「美しい」と評判だ。欧米から取材が相次ぎ、山本忠宏監督が急きょ、英文の資料を作って配ったほど。操作するパイロットの桧野は「日本らしいソリにしたかった。注目されてうれしい」と喜ぶ。

 このソリの所有者は桧野本人だ。2年前に約600万円でドイツから購入した。統括団体の日本ボブスレー・リュージュ連盟には費用がない。選手が新しいソリで五輪に出るためには、自力で調達するしかなかった。

 旧型ソリで初出場したトリノ大会は、16チーム中15位。強豪国は1台数千万円のソリを使う。資金力が成績に直結することを痛感した桧野は、スポンサーを探して200社以上回り、ソリを買う資金を集めた。「世界とあまり差がない道具で戦いたい」という一心からだった。

 いつも逆風にさらされてきた。女子が採用されたのは2002年ソルトレーク大会。日本も大陸枠で出場権を得たが、当時の日本オリンピック委員会は「五輪では戦えない」として、女子の派遣を見送った。桧野は、女子のレースが行われたのと同じ日に、以前から痛めていた右ひざの手術を受けた。テレビで熱戦を見ながら「絶対にトリノに出る」と決意した。

 今回も、五輪出場権を得る直前に、行政刷新会議の事業仕分けで「マイナーな競技まで支援する必要があるのか」と名指しされた。

 「ソルトレークは昔の話だけど、あのとき五輪に行けなかったから今がある。でも、意地でやっているわけじゃない。ボブスレーに魅力があるから続けてきた」

 30歳の思いが詰まった美しいソリは結局、16位。厳しい戦いが続いたが、観客は拍手で挑戦をたたえた。(岡田卓史)

2010年2月26日04時47分  読売新聞)


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