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TV中継減、ネット動画で…パラリンピック会長

ウィスラーでの聖火リレーに参加したクレーブン会長(IPC提供)

 【ウィスラー(カナダ)=結城和香子】世界的な不況の波がパラリンピック競技にも影響を及ぼしている。

 スポンサーの撤退やテレビ放映の縮小など苦境は深まるが、国際パラリンピック委員会(IPC)のフィリップ・クレーブン会長は読売新聞の取材に、ネット放送など新メディアと草の根の力が事態打開のカギだと語った。

 障害者競技を取り巻く環境が厳しいのは、日本だけではない。IPCも北京大会後状況が一変、「ベルトを締め直し、倹約に努めている」(クレーブン会長)という。今大会の地元カナダの放送局は、開会式の中継も取りやめた。だがIPCは、苦境を逆手に攻勢をかけようとしている。

 実況がないなら、ネットで流してしまおう――。IPCがトリノ大会から始めたインターネット上の動画放送は、今回冬季史上最長の150時間を予定。うち半分以上が生中継だ。ParalympicSport.TVは、IPCの国際スポンサー2社が出資している。

 放送権料などはIPCに一切入らないが、日米など10社余のテレビ局による放送の多くが、ニュース形式の総集編しか流さないのに対し、ネット放送はパラリンピック競技の面白さを発信する最大の手段となる。IPCではユーチューブ、フェースブックなども駆使して若者層の関心発掘を狙う。

 こうした新メディアはまた、競技者のすそ野を広げることにもつながる。英国の協会が始めたウェブサイトは、関心はあっても競技を始めるきっかけを持てない若者などをターゲットに、障害者競技が出来る拠点やクラブを紹介する。「潜在的選手は実はたくさんいる。政府や自治体、草の根の支援で、地域に拠点を作り、新メディアで人々をつなげれば、大きな変化となる」と言う。

 クレーブン会長自身も日常、車いすを使う。ロッククライミングで下半身不随となり、病室の窓から見た車いすバスケットボールに救われたという。「スポーツを通じて得る目的や生きがいは、障害を乗り越え自分を取り戻すのに効果がある。今大会の参加選手も、自殺まで考えた時期を越え、結局自分は変わらないのだと悟った人々だ。私の場合も競技に出会わなければ、人生を学べなかったと思う」

2010年3月11日12時50分  読売新聞)
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