現在位置は です

本文です

3きょうだいの絆でダイナミックな演技を目指す…体操 田中理恵(1)

 日本体操史上初の快挙となる3きょうだいでの五輪出場を決めた田中和仁、理恵、佑典の3選手。最も注目を集める田中理恵選手(日体大研究員)は、兄と弟は「ライバルというよりも頑張れる源」だという。その絆を支えにロンドンでは自分らしいダイナミックな演技を披露するつもりだ。

家族の言葉を胸に勝負強さを発揮する

田中理恵選手。「きょうだい3人で高め合っています」

 ———五輪へ向けての心境、現在の調子は?

 「本番へいい準備ができるよう、チーム一丸となって日々、努力をしています。ドキドキとワクワクだと、ワクワクの方が大きいかな。今の調子は悪くもなければ、良すぎることもありません。いつも通りの自分は80%くらいですかね。あと20%は五輪用のジムの器具に慣れることです。今の練習と現地に入ってから、しっかり合わせていきます。毎日、いい練習ができているので、本番では自信を持って自分の演技をするだけだと思います」

 ———自身の課題は?

 「私は本番に向けて技を変えることはありませんので、全日本選手権とNHK杯よりもさらに安定したいい演技ができるよう、練習をしています。特に重視しているのは、減点を少なくすることです。例えば、段違い平行棒では、倒立の姿勢。平均台では、ふらつきがないよう、体の線がまっすぐ一本になるように練習しています」

 ———どんなトレーニングを?

田中理恵選手。「団体の予選が一番大事です。注目も力にかえて頑張ります」

 「競技で大きなミスを出さないように、そして小さなブレを修正できるようにするため、各部位の筋肉を鍛えることが必要です。現在は、チューブを使って、細かいインナーの筋肉を動かし、体の中心にある骨盤の強化をしています」

 ———本番に向けて

 「団体戦の予選が一番大事なので、チームとしてどう盛り上げていくかを考えています。いかにチーム一丸となって、安定した演技をするかが重要です。そのために練習の時から、声をかけ合ったり拍手をしたりして、チームワークを高めています」

 ———多くのマスコミが駆けつけています

 「たくさんの報道陣が取材に来てくださることは、自分たちが注目されているということなので、『頑張らないといけないな』という気持ちになります。みなさんの期待に応えられるよう頑張っていきます」

 ———五輪での目標は?

 「団体では、予選で8位以内に入り、決勝では全員がいい演技をできるようにしたいです。また個人としては、個人総合で昨年の世界選手権(20位)よりも上に行くことが目標です。あとは自分らしくダイナミックな演技を、ノーミスで演技することが一番の目標です。それが出来れば、順位はあとからついてくると思います」

 ———見てもらいたいところは?

 「段違い平行棒では、離れ業を4回、鉄棒と鉄棒を2往復するところがあります。そのダイナミックな演技を見てもらいたいです。平均台は、安定性と美しい演技です。ほかの種目では着地の姿勢だったり、表現力です」

 ———きょうだいでの競争心は

 「きょうだいは自分にとってのライバルというか、頑張れる源です。競争心というよりもきょうだい3人がうまくいくように、自分たちひとりひとりが頑張ろうと思っています。兄とは最近よくメールするのですが、短文から長文に変わってきました(笑)。『誕生日おめでとう。器具に慣れてきた?(踏み切りに使う)ロイター板をしっかり蹴れてるかい? ちゃんと上から入らないと跳ねないよ』みたいな。弟からは『ターンがしやすい床だよ』みたいなアドバイスをもらっています。きょうだい3人の絆は強いと思います」

田中理恵選手。「楽しんで演技をしたいと思います」

 ———両親からは

 「きょうだい3人ともが『五輪に出たい』と強く意識していましたが、あまり意識しすぎないように、と父がルールを作ってくれました。『家では体操の話をしないように』というものです。ですので家へ帰ったら、一般の家庭と同じようにおしゃべりして、『体操なんか忘れる』というくらいの会話をしています。そういう配慮がとてもいいリラックスになります。そして父は、すごく話し上手な一面があります。心に刺さるような言葉をいつもかけてくれるのです。例えば試合前に電話をしたとき、『今までやってきた思いをすべて切り裂いて、自信を持って思い切りやりなさい』というような、すごくいい言葉をもらいました。とても勇気づけられました。

 母も、『あまり体操一辺倒にならないように』とやさしい言葉をかけてくれますね。『失敗してもいいじゃない』とか、『あなたが納得のいく演技をすれば、みんなが喜ぶから』とか、そういうとてもプラスな言葉が助けになっています。

 あとは、私を一番幸せな気持ちにしてくれるのが、母方のいとこなんです。応援してくれないので…(笑)。『つらい』って言うと『やめたらいいやん』って(笑)、そういう軽い言葉がすごく救われるんです。1歳年下の女の子なんですけど、楽な感じで話しかけてくれる『イイやん! 考えすぎてるんや理恵』という言葉にいつも救われています(笑)」

 ———応援してくれる人にどんな姿を?

 「どの選手も周囲の期待から緊張すると思いますが、私はそういう中でも楽しんで演技をしたいと思います。そして、最後まで諦めないでしっかり自分らしく演技する姿を、日本や世界の方々に見て欲しいと思います。日本の女性は『勝負に強い』と思いますので、その心を大切に頑張りたいです」(記事・写真 高野一、石井重聡)

プロフィル
田中理恵(たなか・りえ)
 1987年6月生まれ。和歌山県出身。身長157センチ。和歌山北高から日体大に進み、現在は同大研究員。全日本選手権(4月)とNHK杯(5月)の計4日間の個人総合総得点でトップとなり五輪代表に。女子体操は7月29日から始まり、団体、個人総合、種目別などが8月7日まで行われる。
■女子体操■
 女子体操は跳馬、段違い平行棒、平均台、ゆかの4種目で競う。種目別のほか、4種目合計点で争う個人総合、チームで競う団体が行われる。
2012年7月9日  読売新聞)

今週のPICK UP

PR