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平岡、あと一歩世界一に及ばず…悔しい「銀」

柔道男子60キロ級で、日本人第1号となる銀メダルに輝いた平岡(28日、エクセルで)=菊政哲也撮影

 どれだけ悔しい思いをすれば、世界の頂点を勝ち取れるのだろう。ロンドン五輪の柔道男子60キロ級で、2大会連続出場の平岡拓晃(了徳寺学園職)。

 世界選手権で2度、2位に甘んじていた平岡が、五輪の舞台でも銀メダルに甘んじた。

 初戦から、切れ味のある投げ技や足技が全開。準々決勝でフランス選手の変形柔道に手を焼き、残り7秒までリードを許したが諦めず、最後の一太刀で放った足技で有効を奪って粘り勝つなど、勝利への執念は十分に感じさせた。だが、勝負は非情だ。決勝は、平岡が強敵と恐れていたガルストヤン(ロシア)に開始41秒、力強い払い巻き込みで大きく裏返された。パワーの差を見せ付けられた。

 北京五輪の屈辱は今も忘れない。わずか1試合で敗れ去った悔しさを糧に4年間を過ごしてきた。「足りないものは自信。練習で質も量もこなし、それができたら、自然と身に着いてくる」。左右両方から投げが打てるし、無理な体勢からでも技に入れる天才肌の選手だ。力は十分にある。2009年秋には肘にメスを入れるなど、けがに泣かされてきたが、「稽古さえ積めれば結果は出る」という精神力が支えの男だ。

 柔道男子が史上初の金メダルゼロに終わった2009年の世界選手権。初日に登場して2位に終わった平岡は「僕が勝って、みんなを楽にしたかった」と嘆いたが、その思いはかなわなかった。

 「世界一を渇望している。そのことが自分を高めてくれている」と平岡は言い続けてきた。あと一歩で、世界一になれない悔しさ。何が足りないのだろう。負のエネルギーをため込んできたのに、大事なところで出しきることができなかった——。(下山博之)

2012年7月29日12時52分  読売新聞)