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穴井、散る…金ゼロに篠原監督「私の責任」

 これが、日本の「エース」と期待された男だったのかと思うと、体の力が抜ける。

 「金メダルなし」の連鎖を断ち切る責任を背負って畳に上がった穴井が、無残に散った。

 格下の英国選手を相手の指導三つで下した初戦から動きが鈍かった。問題の2回戦、チェコ選手の中途半端なともえ投げで畳にもつれ、その後の対応がまずかった。立つのか、寝技に行くのか中途半端なまま、横四方固めに捕らえられた。動き回るでもなく、振りほどこうとするわけでもなく、むなしく終了のブザーが鳴った。涙が止まらず、「自分の力が足りなかった。これが勝負だと思う」。一本負けを宣告されるまでの25秒間が、あまりに淡泊に流れたことが残念でならない。

 3年前の世界選手権。当時、「金メダルゼロ」の状況で全日本王者の穴井に出番が来た。恐怖と重圧で前の夜は「ホテルから逃げたいと思った」。その時点で負けていた。五輪という注目度の高い大会で再び迎えた男子柔道のピンチでも、教訓を生かせず、重圧に押しつぶされた。

 残すは、100キロ超級だけ。代表の上川は2010年の世界選手権無差別を制して以降、国際大会の優勝がない。篠原信一監督は、「上川には思い切って悔いの残らない試合をしてほしい」と祈るように話す。ニッポン柔道が最大のピンチを迎えた。(下山博之)

          ◇

 日本男子・篠原信一監督「ここまで金がなかったので、(穴井は)プレッシャーになった。これが五輪だと思う。こういう状況を作ったのは私の責任だ」

2012年8月3日10時59分  読売新聞)