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    小倉記者の現地リポート

    フィナーレもおおらかに…閉会式

    メディア局編集部 小倉剛
    • 入場口に並んだ人々
      入場口に並んだ人々

     17日間にわたったリオ五輪のラストを飾る閉会式が21日(日本時間22日)、マラカナン競技場で行われた。開幕前は、治安やジカ熱、経済不安など様々な問題が取りざたされていたが、ふたを開けてみれば、多少の問題はありながらも、現地では大きな盛り上がりを見せた。

    兵士や警察官、警備はさらに厳重に

     大規模な交通規制による渋滞を予想して、早めにタクシーで会場に向かったが、さほど混雑せず、開場の午後4時半前には入場口に到着。ぱらつき始めた雨の中を歩き始めると、会場周辺には多くの兵士や警察官が警備にあたっていた。心なしか開会式の時よりも多く感じる。交通規制の範囲も、開会式よりも広がっているようだ。五輪が終わるまで、万全の警戒を緩めない意気込みを感じる。

    • 会場周辺は多数の人員で警備に当たっていた
      会場周辺は多数の人員で警備に当たっていた

     東京五輪に向けて、競技場の視察に訪れていたグラフィックデザイナーの久田邦夫さんは「ロンドンはとがったイメージでしたが、リオは曲線を使った、開放的で柔らかなデザインのものが多い。東京大会へ向けて日本らしいデザインを考えてみたい」と言う。

     東京から来た池上香夜子さんと花形照美さんは、開会式から五輪を見続け、「治安が悪いと聞いていたので、観戦以外は一歩も外に出ないつもりだったが、思ったより安全だった。街はゴミもなくきれいで、いい意味でイメージを裏切られた」と振り返る。ブラジル人の盛り上がりを見て「東京は、お金よりも気持ちをかけた五輪にしてほしい」と話していた。

    いつまでも続くサンバ

    • 選手や出演者たちがサンバのリズムで盛り上がった閉会式=大原一郎撮影
      選手や出演者たちがサンバのリズムで盛り上がった閉会式=大原一郎撮影

     閉会式が始まっても観客の入りは6割程度で、特に1階席に空席が目立つ。それでも、盛り上がりはさすがブラジル。9割ほどの客入りに見えた開会式よりも大きな歓声が響く。観客も立ったり座ったりと、かなり忙しい。

     聖火が消え、セレモニーも終わりかと思ったら、そこからさらにサンバが続いたのには驚いた。観客も総立ちで踊り続けていたが、やがて少しずつ帰途につく。しかし、観客が半分になってもサンバは終わらない。一体どうやって終わるつもりなのだろう? 結局、30分ほどして、音楽がフェードアウトしながら消え、競技場に明かりがともった。舞台のダンサーたちも思い思いに帰り始めて、本当に終わったのか判断がつきかねる状態だが、これもブラジルのおおらかさだろうか。

     スタジアムの階段を下りながら、会場を見回していると、楽しかった思いと、これで五輪が終わってしまったんだ、というさびしさが押し寄せてきた。開会式の迫力や、金メダルの瞬間に立ち会えた興奮が次々と頭に浮かんでくる。同時に、この盛り上がりが4年後には日本で味わえるのだ、という楽しみな気持ちも湧いてくる。

     大会中に取材したブラジル人の声を思い出した。「五輪にお金を使ったことで、州の財政は破たんしている。終わった後、どうなるのか」という不安の声や、「五輪をやり遂げたことが、これからの自信につながる」という前向きな声。確かに五輪は盛り上がったが、ブラジル人にとっては、これから戻ってくる日常こそが大事になる。五輪という素晴らしい時間を糧に、よりよいブラジルになることではじめて、五輪が成功したと言えるのだろう。

     同様に、東京五輪も、終わった後に「やってよかった」と思えるよう、今から計画することが重要だ。将来、リオと東京どちらもが、そんな五輪だったと思えるといい。そう強く願いながら帰途についた。

    2016年08月22日 18時13分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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