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    フィギュアスケート

    羽生結弦に「究極」を超える進化はあるのか

     フィギュアスケートは4月22日に終了した国別対抗戦で、今季の全日程を終了した。女子最大のニュースは浅田真央の引退で、男子で最も注目を浴びたのは世界選手権で羽生結弦が見せたフリーの演技だろう。羽生には来年、連覇がかかる平昌オリンピックが待っている。「究極」とも言われた演技を超える、さらなる進化の余地はあるのだろうか。データで見てみる。(編集委員・三宅宏)


    チャンが完璧な演技をしても技術点は届かなかった

    • 今年の世界選手権男子フリーで、自分が持つ世界最高得点を更新した羽生の演技(2017年4月1日、竹田津敦史撮影)
      今年の世界選手権男子フリーで、自分が持つ世界最高得点を更新した羽生の演技(2017年4月1日、竹田津敦史撮影)

     まず、フリーの世界最高得点をたたき出した4月1日の世界選手権を振り返ろう。

     羽生の得点は223.20点で、内訳は技術点が126.12点、プログラム構成点が97.08点だった。4回転ジャンプを4度組み込んで生み出したこの得点がいかにすごいか。元世界王者のパトリック・チャン(カナダ)の構成・得点と比較してみる。

     4回転を3度組み込んだチャンは、ジャンプの失敗もあって技術点は98.11点にとどまり、フリーは5位に終わった。羽生の技術点とは28.01点もの差がついた。

     ただ、チャンの演技構成では、完璧な演技をしても、技術点で羽生を上回ることはできなかった。チャンが8度のジャンプをすべて成功させ、スピンとステップはいずれも最高難度のレベル4をマークし、13要素すべてで満点の出来栄え点を獲得したとしても、計算上では124.25点にとどまる(演技開始から三つ目の失敗ジャンプはトリプルアクセル+1回転ループ+3回転サルコーが成功したと仮定)。羽生の126.12点を超えられなかったことになる。

     チャンは、主に芸術面を評価するプログラム構成点で100点満点という、こちらも奇跡的な数字を加えて(実際は94.92点)、ようやく羽生の実際の得点を1.05点上回ることができる。

    ・関連記事「フィギュアの華」6種類のジャンプを見分ける【動画付き】

    今季はSPが鬼門だった


     世界選手権3連覇の実績があるチャンを向こうに回して、羽生がこれだけ優位に立てたのは、ジャンプの基礎点が1.1倍になる後半に、4回転ジャンプを2度(うち1度は連続ジャンプ)、トリプルアクセルを2度(いずれも連続ジャンプ)も組み入れる高難度のプログラムにしたからだ。現在のレベルでは最高峰の構成に近い。

     もちろん、来年の平昌五輪でも通用するだろう。十分に戦える。羽生自身も国別対抗戦終了後の4月22日に、「構成を大きく変える予定はない」と明言している。

     では、上積みできる部分はあるのだろうか。

     まず、4回転ジャンプ。世界選手権フリーの4度の4回転の出来栄え点合計は10.00点で、平均すると2.50点。これだけでもすごい数字なのだが、羽生は2015年グランプリファイナルで、ショートプログラム(SP)とフリーの両方で2種類の4回転ジャンプで3点満点の出来栄え点を獲得した実績がある。羽生の実力なら、4回転の満点ジャンプをいつ再現してもおかしくない。

     次に、8.80点だったステップと12.65点だったスピン。いずれも最高難度のレベル4を獲得してはいるが、ステップではチャン(9.50点)、ハビエル・フェルナンデス(スペイン=9.30点)、宇野昌磨(8.90点)を、スピンでは宇野(12.74点)を下回った。どちらも小さな得点とはいえ、上積み要素にはなりうる。

     最後は、SPの安定だ。

     今季は四大陸選手権と世界選手権に代表されるように、SPでつまずくことが多かった。SPとフリーの双方をノーミスで終えることは最後までなかった。羽生のSPといえば、代表作はソチ五輪で演じた「パリの散歩道」。SPが苦手というわけではないだろう。平昌でSPとフリーがそろった時、ぶっちぎりでの五輪連覇は十分にありうる。


    羽生結弦の五輪、世界選手権、GPファイナル成績
    SP フリー 総合
    2011年GPファイナル (4)79.33 (3)166.49 (4)245.82
    2012年世界選手権 (7)77.07 (2)173.99 (3)251.06
    2012年GPファイナル (3)87.17 (2)177.12 (2)264.29
    2013年世界選手権 (9)75.94 (3)169.05 (4)244.99
    2013年GPファイナル (1)99.84 (1)193.41 (1)293.25
    2014年五輪 (1)101.45 (1)178.64 (1)280.09
    2014年世界選手権 (3)91.24 (1)191.35 (1)282.59
    2014年GPファイナル (1)94.08 (1)194.08 (1)288.16
    2015年世界選手権 (1)95.20 (3)175.88 (2)271.08
    2015年GPファイナル (1)110.95 (1)219.48 (1)330.43
    2016年世界選手権 (1)110.56 (2)184.61 (2)295.17
    2016年GPファイナル (1)106.53 (3)187.37 (1)293.90
    2017年世界選手権 (5)98.39 (1)223.20 (1)321.59


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    2017年04月25日 12時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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