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    企画・連載

    [平昌へ 支える人たち]板にお化粧 大飛躍の源(2017年12月13日)

     

    ◇ワックスマン 小浅星子さん 34

    • ワックスマンとしてジャンプの女子選手を支える小浅星子さん(11月、仙台市で)=関口寛人撮影
      ワックスマンとしてジャンプの女子選手を支える小浅星子さん(11月、仙台市で)=関口寛人撮影

     ◆元選手 雪との相性熟知

     来年2月9日開幕の平昌(ピョンチャン)五輪まで、2か月を切った。選手の大きな力となっているのが、用具や競技環境などでサポートを受けているスタッフや技術者らの存在だ。4年に1度の舞台に向け、様々な形で選手を支える人たちの姿を追う。

     スマートフォンほどの大きさの固形ワックスをアイロンに押し当て、溶けて液状になったワックスをジャンプ用スキー板の滑走面にたらし、薄く伸ばしていく。ロウと同じ成分でできているワックスは20~30分ほどで再び固まり、うっすらとした膜が板の表面に張り付いた。

     「滑走面には顕微鏡で見れば分かるぐらいの無数の穴がある。そこに溶かしたワックスを染み込ませ、よく滑るようにするんです。固まったワックスが表面に残ると滑りが悪くなるので、しっかり取り除いていかないと」

     スキー用ワックス製造販売会社「ガリウム」(仙台市)で勤務する元スキージャンプ選手の小浅星子さんが、スクレーパーと呼ばれるプラスチックのヘラ状器具を持ち、手慣れた手つきでワックスを削り取る。さらにイノシシの毛やナイロンなど数種類のブラシを使い分け、30~40分程度かけて丁寧に磨いていく。「これが冬の一般的な試合前日の作業。当日はまた別のワックスを塗ります」。選手に同行して板を最高の状態に仕上げるのが、「ワックスマン」の仕事だ。

     山形県米沢市出身の小浅さんは、小学4年生の時に地元の大会でジャンプを見て刺激を受け、翌年から本格的に取り組み始めた。当時はジャンプの女子大会がなかったため、男子に交じって複合の大会に出場するなどして技術を磨き、日本ジャンプ女子の先駆者として活躍。2014年に引退し、「ジャンプに関わることをやっていきたい」とガリウムに入社した。

     同社で広報や営業の業務を担う傍ら、ワールドカップ(W杯)の札幌、蔵王大会では日本代表チームに同行し、気温や湿度、雪の温度、助走路の状態などに応じて最適なワックスを選ぶ。武器は選手との感覚の近さだ。「滑りに違和感がある時、選手は『しぶい』(滑らかに滑らない)、『けばけばしている』(氷の粒などが引っ掛かる)、『けばけばしているけど、そんなにしぶくない』など、独特の表現を使うことがある。そうした微妙な感覚をくみ取ってワックスを選択していくのも、私の大きな役割だと思っています」

     平昌五輪での活躍が期待される高梨沙羅(21)(クラレ)、伊藤有希(23)(土屋ホーム)の2人も、幼稚園の頃からよく知っている。「あの子たちはすごくしっかりしているから大丈夫。何も心配していません」。姉の目で吉報を待つ。(田中潤)

     

     ◇こあさ・せいこ 1983年生まれ。スキージャンプ女子W杯には、創設された2011~12年シーズンから参戦し、計14試合に出場した。最高成績は18位。

    2017年12月27日 19時01分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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    OARはロシアからの五輪選手
    日本の獲得メダル 2 5 3
    国別メダル
    1 norノルウェー 11 10 8
    2 gerドイツ 10 6 4
    3 canカナダ 8 5 6
    9 kor韓国 4 2 2
    10 jpn日本 2 5 3

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