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    五輪セーリング、江の島周辺でレース艇保管難航

     2020年東京五輪でセーリング会場となる神奈川県の江の島周辺では、一部の強豪チームが今夏にも練習を開始する。

     来年には五輪本番を想定したテストイベントもあり、各チームが次々と江の島周辺に入る見込みだ。こうした中、会場周辺ではレース艇を保管するコンテナの設置場所や選手らの宿泊施設の確保が難航するなど新たな課題が浮上している。

     ■コンテナ到着

     先月30日に横浜市内で開催された町村長会議。議題は東京五輪にも及び、葉山町の山梨崇仁町長は到着し始めたコンテナの置き場を巡って地元住民やチームとの交渉に四苦八苦している現状に触れ、切迫した表情で訴えた。「来年、再来年はどうなってしまうのか、想像がつかない状況だ」

     葉山町には会議の直前、今夏に町内での合宿に入る外国チームのコンテナが選手に先駆けて到着した。コンテナは高さ2・8メートル、幅12メートルほど。チームのヨットや機材などを入れて輸送し、大会が近くなると試合会場付近に設置してレース艇の保管やメンテナンス、チームのミーティングのスペースなどとしても利用するのが通例だ。

     東京五輪では、決勝が行われる江の島周辺の海面から、葉山町の沖合付近までにある五つの海面が競技会場の有力な候補となっている。多くのチームは海の特徴をつかむため数年前から会場周辺で練習を積み、テストイベントが来年開催されることもあって、今夏からは到着するコンテナ数も増える。

     ■候補地なく苦戦

     だが、観光客らでにぎわう夏の期間中、海岸付近でコンテナを設置する場所を確保するのは容易ではない。葉山町は暫定的に「防災広場」の一角にコンテナを置いたが、広場は火災時の延焼を防ぐなど本来の役割があり、長期間の設置は避けたいところだ。

     県は東京五輪に向け、江の島内の県有地に1か国あたり2個を上限に設置場所を確保したが、複数の国は上限を超える数の持ち込みを検討している。葉山町だけでなく、鎌倉、藤沢や逗子の各市も「コンテナの設置が可能な候補地はほとんどない」とし、設置場所の確保が課題となっている。

     置き場のほかにも課題は立ちはだかる。日本の場合、コンテナをミーティング場所などとして利用するには、建築基準法に基づいて公的機関による建築確認が必要とされる。確認を得るには基礎工事や固定することなどが求められる。

     ただ、大会終了後は使われない可能性が高いため、県や日本セーリング連盟は、特例として、国に規制緩和を求めている。しかし、特例が認められなければ、工事をするか、拠点としてコンテナを使用することを禁止することになる。チーム側との交渉は難航も想定される。

     ■宿泊所の提供呼びかけ 事前合宿に必要不可欠なのは宿泊先だ。だが、葉山町、逗子市内にある宿泊施設は数か所程度。鎌倉、藤沢両市にあるホテルは観光客らで混雑するため、葉山町は大学や企業に対し、合宿所や研修所などの提供の要請に着手した。

     一部の企業からは協力の申し出があり、チームとの賃貸借契約の成立を模索している。同町の担当者は「課題は山積しているが、五輪はトップ選手を間近で見たり、国際交流できるかけがえのないチャンス。日本のヨット発祥の地として協力していきたい」と話した。

    2017年06月07日 18時10分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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