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    パラフォト 平昌2018

    氷上の小さなテクニシャン 上原大祐

     パラリンピックに魅せられ、撮影を続ける植原義晴さんの写真とともにパラアスリートのドラマを紹介する。(文・メディア局編集部 込山駿)

    • 小回りを利かせてパックを保持する上原(10日の日韓戦で)=フォトサービス・ワン提供、以下同
      小回りを利かせてパックを保持する上原(10日の日韓戦で)=フォトサービス・ワン提供、以下同

    小回り勝負、ターンで抜く

    • 気迫の守備を見せる上原(左から2人目)。大柄な相手にも当たり負けしない
      気迫の守備を見せる上原(左から2人目)。大柄な相手にも当たり負けしない

     パラアイスホッケーの選手は、スレッジと呼ばれる氷上そりに乗り、両手に持ったスティックを氷に突き立て、ボートをこぐように力を込めて前進する。腕力がほぼスピードに直結するだけに、パワフルで大きな上半身の持ち主が多い。

     そんな中にあって、ひときわ小柄だ。「僕は、小回り勝負の選手。たとえ直線のスピードで負けても、ターンで内回りできれば、競り勝てる。ターンで抜くことを心がけている」。先天的なハンディキャップの影響で下肢が小さいため、スレッジも他選手より小さくて軽いものを使える。それが、動きの良さを生む。

    低い氷上そりで奮闘

    • ウェアの裾が氷の表面に着くほど座席が低い
      ウェアの裾が氷の表面に着くほど座席が低い

     しかも、スレッジに、もう一工夫施してある。「刃の部分を、通常よりも数センチ、低くしてある。ターンに安定感が出るのがいい」。スレッジの座席と氷が近いから、背番号「32」のウェアの裾は、いつも氷に着きそうになっている。

     座高が低いため、スティックも短い。それをさらに短く持ち、誰よりもめまぐるしく駆使してパックを操る。細やかで巧みなタッチを次々に繰り出し、攻守でチームを支える。

     現役を離れていた2014年、NPO法人「D-SHiPS32(「ディーシップスミニ」」を発足させ、講演会やスポーツ教室などで子どもたちと交流している。そんな子どもたちに全力の戦いを見せると誓って、平昌入りした。だから、異色のテクニシャンは、敗戦にもうつむかない。「最後まで集中して戦う」と言い切った。

     10日の平昌パラリンピック初戦は、地元の韓国に1-4。銀メダルに輝いた2010年バンクーバー大会の再現を狙うには、勝利が欲しい一戦だった。第3ピリオド開始時点で0-1と、現在は格上の相手に善戦したが、第2ピリオド終盤の同点機を逸したのが響いて突き放された。

     「我々の方が、よく動けていた。我慢して、我慢して、攻め返す。そんな展開にできそうだったのに」。終了後、36歳は天を仰いだ。日本が終盤に一矢を報いたゴールは、上原の放った強烈なシュートを相手GKがこぼし、味方が押し込んだものだった。

     11日の米国戦も残念ながら敗北。気持ちを新たに13日のチェコ戦に挑む。

     そのほかの写真もお楽しみください。上原大祐編

     上原大祐(うえはら・だいすけ) パラアイスホッケー日本代表DF(日本電気)。二分脊椎症のため、幼い頃から車いす生活を送り、19歳で競技を始めた。パラリンピックは2006年トリノ大会、10年バンクーバー大会に出場、エースFWとしてチームをバンクーバー大会の銀メダル獲得に導いた。いったん引退し、会社員の傍らNPO法人を設立するなどして活動の幅を広げていたが、日本が14年ソチ大会の出場権を逃した後に現役復帰。DFに転向し、平昌大会の出場権奪還に貢献した。1981年12月27日生まれ。長野県出身。

    植原義晴のまなざし

     韓国戦での激しい守備には、目をみはった。
     動きの良さとパックを扱うテクニックは、以前から日本代表で抜群だと感じていた。だが、韓国戦でのプレーには、それ以上に、ハートの強さがにじみ出ていた。誰よりも小さな体で、誰よりも激しく、たくましい相手選手に肉弾戦を仕掛けていた。銀メダル獲得後に現役を退いていたにもかかわらず、平昌パラリンピックの出場権を取り戻すために日本代表に復帰した選手ならでは、と思わせた。
     9日の公開練習では、大一番を前にカリカリした様子の選手も多い中で、明るい笑顔を絶やさず、ムードメーカーになっていた。今のチームで、代わりがいない選手の一人だ。

     〈撮影者〉植原義晴(うえはら・よしはる) パラスポーツを追うフォトグラファー。出身地の横浜市で写真館を営む傍ら、2016年リオデジャネイロ・パラリンピック、17年パラアルペンスキー・ワールドカップ(W杯)白馬大会、今年のパラアイスホッケー4か国対抗戦などを撮影してきた。1970年3月25日生まれ。

    【パラフォト 平昌2018】

    ・大企業・トヨタを動かしたパラアスリート 森井大輝(2018年03月08日)

    ・女王ファルカショバ、信頼の高速シュプール(2018年3月14日)

    ・成田緑夢、左右違いのブーツがターンを変えた(2018年3月17日)

    2018年03月11日 16時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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