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    パラフォト 平昌2018

    女王ファルカショバ、信頼の高速シュプール

     パラリンピックに魅せられ、撮影を続ける植原義晴さんの写真とともにパラアスリートのドラマを紹介する。(文・メディア局編集部 込山駿)

    • 以心伝心の滑りを見せるファルカショバ(左)とシュブルトバ(11日、スーパー大回転で)=フォトサービス・ワン提供、以下同
      以心伝心の滑りを見せるファルカショバ(左)とシュブルトバ(11日、スーパー大回転で)=フォトサービス・ワン提供、以下同

    金メダル量産の10年コンビ

    • ほぼ同じコースを滑る2人(10日、滑降で)
      ほぼ同じコースを滑る2人(10日、滑降で)

     まるでレールの上を滑っているようだ。ヘンリエタ・ファルカショバ(スロバキア)の滑りには、迷いがない。数メートル前を滑るガイドのナタリア・シュブルトバが雪上に残したシュプールをなぞるように、高速で滑り降りていく。健康な視力の持ち主同士でも、なかなかここまで息は合わないだろう。

     平昌パラリンピックのパラアルペンスキー(視覚障害)で、2人は「5種目の完全制覇が目標」と公言している。10日の滑降で連覇を達成して波に乗ると、11日のスーパー大回転は「グレートな滑りができた。最高に幸せ」(ファルカショバ)と自画自賛する快勝を収めた。13日のアルペン複合、14日の大回転でも優勝。後は18日(予定)の回転を残すのみ。女子の視覚障害の部には、各種目に10組余りが出場登録しているが、これまでの種目を見る限り、以心伝心の滑りは別次元だ。転倒などの大きなミスが出なければ、行く手を阻むライバルはいない。

     10年、一緒に滑ってきた。冷静沈着なファルカショバと、負けず嫌いのシュブルトバ。「私たちコンビのバランスは完璧」と口をそろえる。

    通信機器で瞬時に情報を共有

    • メダルセレモニーで、つないだ手を差し上げて喜ぶファルカショバ(右)とシュブルトバ(11日のスーパー大回転後)
      メダルセレモニーで、つないだ手を差し上げて喜ぶファルカショバ(右)とシュブルトバ(11日のスーパー大回転後)

     コンビ結成1年半後に出場した2010年バンクーバー大会で、金メダル3個を獲得。ファルカショバが右ひざの(じん)帯を痛めて4か月後に行われた14年のソチ大会でも、金メダル2個を加えた。ヘルメットに搭載した通信機器で「雪面の起伏、傾斜、滑り方。レース中、必要な情報を詳しく伝えている」とシュブルトバは言う。綿密なコミュニケーションで、瞬時に情報を共有できるから、速く滑れる。

     昨夏。パラリンピックで多数の種目を滑り抜けるよう、2人は体力づくりに励んだ。その結果、ファルカショバがオーバーワークに陥り、腰痛を発症した。治療のため、冬場の雪上練習を開始する時期も遅れた。だが、ファルカショバは「もう完璧に治った」と言い切る。

     スロバキア政府職員であるシュブルトバが、オーストリアのウィーンへ転勤し、国際原子力機構(IAEA)で外交官として働くことになったのも、昨夏のこと。仕事がさらに激増し、週末の練習と合わせて目が回るほどの忙しさだが「楽しんでいるわ」と笑う。

     試練の夏を乗り越えて、快進撃を演じている。

     そのほかの写真もお楽しみください。ファルカショバ編

     ヘンリエタ・ファルカショバ パラアルペンスキー(視覚障害)スロバキア代表。4歳で極度の弱視が判明。17歳でスキーを始め、2008年からシュブルトバと組んでいる。視覚障害者スキーでB1からB3まで3段階に分けられる障害のレベルは、最も軽度なB3。1986年5月3日生まれ。 ナタリア・シュブルトバ 視覚障害のある選手を先導するガイド・スキーヤー。健常者のスキー競技とストリートダンスの経験がある。1989年5月1日生まれ。

    植原義晴のまなざし

    • かわいらしい民族衣装を着て、スロバキア選手団の入場行進で旗手を務めたファルカショバ(右)とシュブルトバ
      かわいらしい民族衣装を着て、スロバキア選手団の入場行進で旗手を務めたファルカショバ(右)とシュブルトバ

     視覚障害者のアルペンスキー競技を撮っていると、ガイドの滑りに力量の差が表れることに気付く。シュブルトバは、スピードを加減しているように見えない。スキー板をそろえ、腰を落とし、旗門ギリギリを通過する攻めのライン取りで滑っている。ファルカショバは、必ず私についてくる――と確信している感じがする。 シュブルトバが、ほとんど後ろを振り返らないのも印象的だ。他のペアの多くに見られる動作だが、この2人には、その必要があまりないのかもしれない。信頼関係の深さがにじむ。 開会式では、2人そろってスロバキア選手団の旗手を務めていた。かわいらしいスカートは、母国の民族衣装なのだろう。交互に国旗を振る姿に「私たち2人は一心同体」という意思表示を見た。メダル授与の式典でも、ペアルックで手をつなぐ。親友同士とは、こういうコンビをいうのではないだろうか。

     〈撮影者〉植原義晴(うえはら・よしはる) パラスポーツを追うフォトグラファー。出身地の横浜市で写真館を営む傍ら、2016年リオデジャネイロ・パラリンピック、17年パラアルペンスキー・ワールドカップ(W杯)白馬大会、今年のパラアイスホッケー4か国対抗戦などを撮影してきた。1970年3月25日生まれ。【パラフォト 平昌2018】・大企業・トヨタを動かしたパラアスリート 森井大輝(2018年03月08日)・氷上の小さなテクニシャン 上原大祐(2018年3月11日)・成田緑夢、左右違いのブーツがターンを変えた(2018年3月17日)

    2018年03月14日 15時45分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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