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    民主化支えた天然ガス輸出 ミャンマーの経済の現状と今後の展望 東南アジア研究所 三重野文晴准教授 

     ミャンマーでは1988年に国軍のクーデターが起きて、軍政が始まった。90年に民政移管の選挙が実施されたが、軍政は政権移譲を拒否、民主化は2011年の新憲法下での国会開会まで待たなくてはならなかった。この間20年余り、同国で何が起きたのか、経済の視点からふり返りたい。

     ◇転換期は2004~5年

     同国は1960年代から、国を閉じて貿易を一切禁じるという、独特な社会主義経済政策をとった。軍政はこの体制との決別を宣言した。このことが功を奏して、90年代前半に「第1次ミャンマーブーム」が起きた。

     当時、投資先として急伸長すると世界的に期待されたが、97年のアジア金融危機で頓挫した。最大10%に達した経済成長率は一時、マイナスに落ち込んだ。

     その後の経済の転換期は2004~05年頃だ。1980年代から期待されていた、ベンガル湾の天然ガス田開発が一気に実を結び、隣国の中国、タイへの天然ガス輸出が始まった。

     ◇大統領選も

     ミャンマーの民主化は2011年に突如始まったが、背景には天然ガス輸出による経済の好調がある。ただ、今が特別な状況なのかもしれない。資源輸出に依存する経済は資源の国際価格に影響を受けやすく、天然ガス輸出1本では安定が望みにくい。軍政の間に著しく成長した民間企業の力を生かし、長期的な視点で工業化を進める必要がある。

     戦後賠償で最大の債権国になった日本は、民主化後に債務帳消しの手続きを取り、新たな援助をできるようにした。鉄道や電力網強化などの支援に乗り出す。

     15年には、建設中の国際港が稼働し、証券取引所も発足の見込みだ。大統領選挙も予定され、民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏が出馬を表明している。

     ここで何が起きるか。見逃せないタイミングだ。

     □みえの・ふみはる□ 1992年一橋大社会学部卒業。同大学経済研究所助手、タイ・タマサート大経済学部客員研究員、法政大助教授、神戸大国際協力研究科教授を経て、2012年4月から現職。専門は東南アジア経済。

    2014年03月24日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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