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    根毛:植物の形づくりについての研究モデルケース 「成長の要 先端に『目印』」 化学研究所 青山卓史教授

     植物の細胞は、花びらでは丸っこい粒の形で並んでいたり、葉の表面では、ジグソーパズルのピースのような形をしていたりし、多様だ。動物の細胞と違って細胞壁で囲まれ、形や位置を後から変えることはできないため、それぞれが遺伝的な制御で精密に作られる。

    • 青山教授
      青山教授

     植物細胞は、大概の場合、風船が膨らむような「拡散成長」と、先端が伸びる「先端成長」の2パターンの形態形成を複合させて、変化に富んだ形になっていく。先端成長だけで大きくなる根毛は単純化しやすく、研究が進んでいる。

     根毛はイネやトマトなどのほか、世界中の基礎研究でよく使われるシロイヌナズナでも、新しい根の表面に生える。水と栄養素を土中から吸収する以外に、根の地中への固定、土壌環境を作るための有機物の供給などの働きをしている。

     根毛は、根の表皮にある縦長の細胞の下端が膨らみ、どんどん伸びてできる。中途半端な場所が突き出ることはなく、このように細胞内で特別な場所が決まることを「極性の確立」と呼ぶ。

     根毛は必ず先端だけが伸びる。そこでは様々なたんぱく質や化合物が作られるため、合成に必要な物資が供給され続けなければならず、「ここが先端だ」と示す目印が細胞膜上にある。だが、成長に伴って先端の細胞膜が拡張されるため、そのままでは目印も拡散し、極性が失われかねない。

     複雑な形を規則正しく作るには、極性の確立と維持が必要で、我々は先端にある目印が、互いに引き寄せ合って拡散を防いでいると考えている。

     □あおやま・たかし□ 1987年、京都大理学研究科博士課程修了。同大学化学研究所助手、助教授などを経て、2009年から現職。専門は分子生物学。

    2016年02月22日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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