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    「活断層」最後の審判 敦賀原発2号機

     原子炉直下に活断層があると疑われ、廃炉の公算が大きくなっている日本原子力発電の敦賀原子力発電所2号機(福井県、116万キロ・ワット)を巡り、再稼働の可否を判断する安全審査が行われている。原子力規制委員会は初めに活断層の有無を検討し、“クロ判定”が出れば審査を取りやめ、不合格にする方針だ。一方、日本原電は「活断層ではない」とし、一歩も引かない構えだ。(山崎光祥)

     ◇異例の発言

     「双方の冷静な議論が不可欠。実質的な内容に入る前、今後の進め方について合意したい」

     先月19日に開かれた安全審査初会合の冒頭で、原子力規制庁の桜田道夫・原子力規制部長は日本原電関係者へ向け、そう発言した。

     申請は同5日に行われた。敦賀2号機を含め、これまでに16原発26基が申請しているが、規制委側がこうした前置きをしたのは初めてだ。異例の発言は、敦賀2号機の原子炉建屋直下にある断層が原因で、会合では、まず活断層の有無をいち早く決着させることを決めた。

     原発の新規制基準は、活断層の上に原子炉などの重要施設を建設することを認めていない。敦賀2号機建屋の北東約250メートルには活断層である「浦底断層」が走り、建屋直下の断層がこれと連動する「活断層」であれば、地震時に原子炉が壊れかねない。田中俊一委員長は、「(活断層と)認定した場合は審査を途中で打ち切る」と明言した。

     審査打ち切りは不合格を意味し、敦賀2号機の廃炉に直結する。対抗手段として日本原電には「審査の再申請」があるが、認定を覆すような新証拠が必要で、ハードルは高い。行政不服審査法に基づく異議申し立てなども想定されるが、再稼働は極めて困難になるとみられる。

     ◇徹底抗戦

     敦賀2号機の活断層問題は、2012年4月に端を発する。規制委の前身、旧原子力安全・保安院による現地調査で、専門家が建屋直下の断層について活断層の可能性があると指摘。後に発足した規制委は、活断層の存在が疑われる他の5原発とともに検証作業に乗り出した。

     作業は、日本地震学会など4学会が推薦した専門家を中心に5人の有識者チームが担当。13年5月、「活断層の可能性が高い」とする報告書をまとめた。

     その後、有識者チームは、活断層ではないとする日本原電の求めに応じて検証をやり直した。

     断層は、12万~13万年前より新しい時期に動いていた痕跡があれば活断層とみなされる。日本原電は、敷地内の地層データを根拠に「2号機直下の断層はもっと古い時代のもの。活断層ではない」と主張してきた。しかし、有識者チームに「地質が粗く、層がはっきりしない。判断に用いるには不適切だ」と退けられ、今年3月、報告書は確定した。

     ◇28年10か月

     それでも今回、日本原電が安全審査を申請したのは、保有する“現役”の原発2基のうち、運転年数が28年10か月と比較的新しく、出力も大きい敦賀2号機を「経営上の生命線」と位置づけているからだ。

     審査申請時には「断層が12万~13万年前より古いことがはっきりとする地層が現れ、我々の主張の正しさが裏付けられた」として、新たな地層断面図などを“証拠”として提出した。元有識者チームの一人は取材に対し「断面図は検討に値する」と指摘。規制委も現地調査を行う見通しだ。

     今月4日に開かれた規制委側と日本原電側の担当者によるヒアリングで説明資料の項目を確認した。次の審査会合で規制委側から具体的な論点が提示され、実質的な議論に入る。

     ◇再稼働社運握る

    • 安全審査が始まった敦賀原発2号機(中央)。手前は廃炉が決まった1号機(福井県敦賀市で。本社機から、2015年3月13日撮影)
      安全審査が始まった敦賀原発2号機(中央)。手前は廃炉が決まった1号機(福井県敦賀市で。本社機から、2015年3月13日撮影)

     日本原子力発電は原発専門の電力卸売会社で、国の原子力エネルギー政策を推進するために、1957年11月に設立された。

     66年には、国内初の商業炉として東海原発(茨城県、廃炉作業中)の運転を開始。敦賀1号機(廃炉決定)は、70年の大阪万博の開会に合わせて送電を始めた。

     現役の2基のうち、2014年5月に安全審査を申請した東海第二は運転期限の40年まで3年を切った。最も新しい敦賀2号機の再稼働が社運を握る。

    2015年12月21日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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