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    おしえて!!理科シロー博士 「電気魚に学ぶ」

     いやはや暑い日が続いておる。エアコンをかけて暑さをしのぐ人も多いじゃろうが、電気の使用量も気になるのぅ。そうそう、最近では電気を出す魚に学んだユニークな発電機の開発に向けた研究も進んできたんじゃ。クリーンで効率もよく、新たな発電方法として期待されておるそうじゃ。

     ◇電気魚の細胞 発電しやすく 変化しておるぞ

     魚の仲間には、電気を出す「電気魚」がおる。「デンキウナギ」「デンキナマズ」「シビレエイ」が御三家とも呼ばれ、電気で敵を追い払ったり、餌になる小魚を気絶させたりするんじゃ。

     実はわしら人間も電気を作れるんじゃぞ。心臓がドキドキ動いたり、脳であれこれ考えたりできるのは、細胞が出す弱い電気のおかげじゃ。電気に異常がないかを調べて病気を見つけるのが、心電図や脳波の検査というわけじゃよ。

     発電の基本的な仕組みは、電気魚も人間も同じで、ナトリウムイオンなどプラスの電気を帯びた小さな粒を、細胞から出し入れすることで電気が発生する。ただし、電気魚は発電しやすいよう細胞が変化しておるんじゃ。

     例えばシビレエイの場合は、平らな六角形の「発電細胞」が、1000層ほど積み重なり、体の左右の電気器官にぎっしりと並んでおる。一つ一つの細胞が出す電気は弱いが、規則正しく積み重なっておるから、まるで直列につなげた電池のように強い電気を生み出せるわけじゃよ。

     ◇効率なんと 100%近くじゃ

     理化学研究所・生命システム研究センター(大阪府吹田市)では、シビレエイの電気器官を人工的に作る研究が進められておる。シビレエイは日本近海にいるため入手しやすく、電圧も比較的低くて安全じゃから選んだそうじゃ。

     注目すべきは、燃料となる体内の化学物質のエネルギーを、電気に変える効率が100%近いこと。火力や原子力、太陽光発電などは効率が50%に満たないんじゃよ。さらには、排ガスや有害物質が出ないという長所もあるぞ。

     研究チームは、シビレエイの電気器官を角切り(縦横3センチ、厚さ1センチ)にして四角い容器に入れた発電装置を開発したんじゃ。直列に16個つなぐと、電圧1・5ボルト、電流0・25ミリ・アンペアの電気を出せたんじゃと。ユニットリーダーの田中陽さんは「将来的には、発電細胞と同じ仕組みの装置を半導体技術で作り、高効率発電機の開発を目指す」とのことじゃ。

     燃料となる物質は、体内や生活排水に豊富に含まれておるから、臓器の状態をチェックする医療用の体内埋め込み型センサーの電源や、下水を有効利用する発電装置にもつながる。生き物のすごい能力から学ぶことは多いのう。

     ◇古代ローマ シビレエイで頭痛治療

     シビレエイは欧州近海にも生息し、触ればビリッとくることは古くから知られておった。何と古代ローマでは、頭痛や痛風を和らげる治療に、シビレエイの電気を使っていたそうじゃ。

     電気魚の中でも、最強はデンキウナギじゃ。頭以外のほとんどが電気器官で、電圧600ボルトもの電気を出せるため、大きなワニや馬も気絶するほどなんじゃ。

     姿はウナギそっくりじゃが、体のつくりはまるで違う。自ら感電しないよう、重要な臓器は頭の近くに集まり、電気を通しにくい厚い組織に覆われておる。

     見通しの悪い濁った熱帯の川に住む魚には、体から出す電気のわずかな変化で、周囲の様子を探る種類も多い。その中で、電気を出す能力が極端に発達したのが、デンキウナギやデンキナマズとされておるんじゃ。

    2016年08月19日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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