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    おしえて!!理科シロ-博士 「光合成をしない植物の不思議」

     6月に入り、日差しが強くなってきたのう。太陽の光は植物が光合成をして栄養を生み出す源じゃが、光合成をしないで生きている植物もいるんじゃ。日本でも新種が次々と見つかっておる。今回は、そんな不思議な植物を紹介するぞ。

    ◆土の中にすむ菌類から栄養もらうんじゃ

     ほとんどの植物は葉っぱに受けた日光で光合成を行い、ブドウ糖などの養分を作っておる。光合成は、植物の大きな特徴と言えるな。

     ところが、光合成をやめてしまった植物も存在するんじゃ。どうやって生きているのか、不思議に思うじゃろうな。

     実は、土の中にすむ菌類から窒素やリンなどの栄養分を吸い取っておる。菌類にはキノコやカビも含まれておるな。専門用語では「菌従属栄養植物」と呼ばれておる。普通の植物は、光合成で作った栄養の一部を菌類に与える代わりに、菌類から栄養をもらうという助け合いの関係があるが、菌従属栄養植物は文字通り、栄養分を菌からもらうだけじゃ。世界に500~600種類いると言われておる。

     日本では少なくとも50種は存在すると思われるが、近年、沖縄県の石垣島や鹿児島県などで新種が相次いで発見されており、詳しい分布は不明じゃ。新種ではないが、南半球でしか確認されていなかった種が石垣島で見つかっておるぞ。

     光がいらんので、暗い森の中に生えることが多い。しかも数週間~1か月程度しか地上に姿を見せないので、見つけるのも難しいぞ。花や実をつける時期以外に、わざわざ動物に食べられる危険がある地上に現れない、というわけじゃな。

    ◆突然変異で進化した?

     特別な植物と思うかもしれんが、実はユリやラン、ツツジなど様々な種類があるんじゃ。今は「進化の過程で光合成を捨てた」という説が有力という。

     「突然変異」という言葉は知っておるかの? ある日、生物や植物の遺伝子が突然変わり、別の性質や能力を持つことじゃ。動植物の進化の原動力とも言われているが、光合成をしていた植物が菌類から栄養をもらうようになったり、葉っぱを作らなくなったりするには、数多くの突然変異が必要と考えられているんじゃ。

     菌にとっては迷惑な話でしかないが、この植物を調べている神戸大特命講師の末次健司さん(30)は「菌はまるで自分から栄養を与えたいかのように、植物に向かって組織を伸ばす。菌を上手にだましているかもしれません」と話しておる。まだまだ謎は多そうじゃ。

     こんな変てこな植物が生きられるのは、逆に言えば菌類が豊富な土があるからじゃ。豊かな土の大切さを教えてくれるのは、この植物かもしれんのう。

    ◆寄生植物世界最大の花咲かす

     他の生物から栄養をもらう植物は、寄生植物と言われておる。菌以外から栄養をもらう寄生植物もいて、有名なのは花の直径が1メートルを超えることもある「ラフレシア」じゃろう。

     ラフレシアは東南アジアの熱帯雨林に生えるが、ブドウ科の植物のつるに寄生する。糸状の細胞をつるの中にしのばせるが、成長するのは子孫を残すのに必要な花だけ。葉も茎もない奇妙な植物じゃ。栄養補給は他の植物任せなのに世界最大の花を咲かせるのは、何とも不思議じゃのう。

     栄養を吸い取りすぎて他の植物を枯らす迷惑者もおるぞ。ハマウツボ科の「ストライガ」は光合成も行うが、多くの栄養を寄生する穀物に頼る。アフリカで穀物を枯らし深刻な被害を与えることから、「魔女の雑草」と恐れられておるぞ。

    2018年06月08日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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