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    ポケットモンスター(ポケモン)

    20年 ゲームもメガ進化 

     

     任天堂関連会社の「ポケモン」(東京)が発売するゲーム「ポケットモンスター(ポケモン)」 シリーズは、累計販売本数2億2000万本を超える大ヒット作だ。誕生から20年を過ぎても、世界中の人々を魅了し続けている。(都築建)

     

     

    試作数十回以上

     

    • サン・ムーンの開発に携わったポケモンの(左上から時計回りに)佐藤さん、和田さん、上井さん、曽羽さん(15日、東京都港区で)=池谷美帆撮影
      サン・ムーンの開発に携わったポケモンの(左上から時計回りに)佐藤さん、和田さん、上井さん、曽羽さん(15日、東京都港区で)=池谷美帆撮影

     2016年11月に発売されたポケモンの最新作「サン・ムーン」。ポケモン誕生から20周年というタイミングでの発売を目指し、開発が始まったのは13年のことだった。

     開発は、第1作の「赤・緑」から手がけるゲーム制作会社「ゲームフリーク」(東京)と、ブランドの運営を担うポケモン社が二人三脚であたる。

     ゲームを軸に、アニメやカード、グッズなどポケモン関連の累計市場規模は6兆円以上とされる。ゲームの新作が出ると関連商品も刷新されることが多く、新作は世界的な注目を集める。

     第7作となるサン・ムーン開発のリーダー役に指名されたのは、ポケモン社の上井伸ディレクター(38)。ゲームフリークから提出された分厚い企画書をみて「これはすごい作品になる」と身震いした。

     「超越」というテーマが掲げられた企画書は、過去6作で築き上げてきたポケモンのスタンダード(標準)を大きく刷新する内容だった。

     ゲーム攻略に必要なポケモンの対戦を行う「ジム」を廃止したほか、主人公の移動手段だった自転車がなくなり、その代わりに直接ポケモンに乗って動けるようになっていた。最も驚いたのは、第1作で登場したポケモンを、全く異なる姿で登場させることだった。

     慣れ親しんだポケモンの姿を変えればファンから批判を受ける恐れもある。だが、上井は「生きている場所によって姿を変えるのは実際の動物と同じ。ポケモンの世界に奥行きを与えられる」と直感した。

     「シナリオとして盛り上がるべき所で盛り上がっていない」「ポケモンを捕まえたとき、カチッという音を入れられないか」

     上井らの細かな注文に応え、ゲームフリーク側は、試作版を数十回以上作成し、ソフトの改良を重ねた。

     

     

    世界の共通言語

     

     

     3年を経て発売されたサン・ムーンは16年度に1544万本を販売し、ニンテンドー3DSのシリーズではこれまでにない勢いで売れている。

     サン・ムーンで初めて開発に携わった和田雅之マネジャー(29)は、「変わったポケモンの姿を見たいと、一度ゲームから離れた世代にも関心を持ってもらえた」と話す。

     海外で販売されるソフトの開発を担当した佐藤新マネジャー(30)も、「『ポケモン』が共通言語として通じる世代が、世界中で増えている」と手応えを感じている。

     1996年発売の「赤・緑」は、ゲームフリークの田尻智代表取締役(51)が子どもの頃に楽しんだ昆虫採集や魚釣りの体験がゲームの大本にあったという。

     友人らとポケモンの交換や対戦を楽しめる従来にない機能に子どもたちは夢中になった。機械の中だけで楽しむものだったゲームが、外でも遊べるようになった。

     06年発売の第4作「ダイヤモンド・パール」ではインターネットを通じたポケモンの対戦・交換ができるようになった。13年発売の第6作「X・Y」では、「ポケモンの魅力は交換などのコミュニケーション。世界中の人に同じタイミングで遊んでほしい」と世界同時発売に踏み切った。

     曽羽孝則シニアディレクター(33)は、「ポケモンの進化は続いているが、新しい遊びを提供するという原点は変えていない。そこが強みだ」と話す。

     

     

     

    ポケットモンスター 

     

     「ポケモントレーナー」の主人公がポケモンを捕まえたり、他のトレーナーと対戦したりしながら各地を冒険し、トレーナーの頂点を目指すゲーム。物語の舞台は関東(第1作のカントー地方)、近畿(第2作のジョウト地方)など実在の土地から着想を得ており、第7作のアローラ地方はハワイがモチーフになっている。

     第1作で151種類だったポケモンは、第7作で800種類以上に増えた。シリーズは任天堂の携帯ゲーム機向けに発売されている。

     

     

    原点は虫捕り 中高年も支持 

     

    石原恒和(いしはら・つねかず)59 

     

    • [ヒット&ロングラン] インタビューに答えるポケモンの石原恒和社長(15日、東京都港区で)=池谷美帆撮影
      [ヒット&ロングラン] インタビューに答えるポケモンの石原恒和社長(15日、東京都港区で)=池谷美帆撮影

     虫を捕ったり、不思議な生き物を探したり。シリーズは世界中の子どもに共通する遊びの要素があり、等身大の自分を置き換えて入り込めるゲームだった。新しい作品でも昔捕まえたポケモンに出会えるなど、原点を大切にしながら幅広い年齢層から支持をいただいてきた。

     2016年配信の「ポケモンGO」は予想をはるかに上回る速度で広がった。7月に豪州から配信を始め、約1週間で、ダウンロード数が「ギネス記録だ」と言われ始めた。20年前はゲームが世界に普及するのに2、3年かかったことを考えると、約100倍の早さだ。

     今も月6500万人が利用し、50、60歳代の利用者も増えている。開発したナイアンティックは、ポケモンの種類や交換機能などの仕様を当初の目標の約10%に抑えて配信を始めた。これからも様々な要素が追加されるので、「飽きた」と言わないで期待してほしい。ポケモンがいる位置を分かりやすく表示して「ながらスマホ」を防ぐなど、安全性も高めたい。

     今年は映画20周年となる。7月公開の20作目はアニメの主人公サトシとピカチュウの出会いの物語で、GOで登場したポケモンにも焦点を当てた。子どもだけでなく、GOからポケモンの世界に入った世代にも届く作品にしたい。

     

     

     

    こんな会社  

     

     1998年に第1作の開発・発売に携わった任天堂、クリーチャーズ、ゲームフリークのゲーム3社が共同出資して設立し、公式グッズを販売する「ポケモンセンター」の運営を始めた。00年には商号を「ポケモン」に変更し、ゲームやアニメの各事業でブランドを運営している。累計6兆円以上とされるポケモン関連市場のうち65%が海外となっている。売上高、従業員数は非公表。

    2017年05月31日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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