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    自衛官→京ごふく二十八社長 原巨樹さん 36

    着物文化守れ職人共鳴 

    • 「着物業界を盛り上げたい」と語る原巨樹さん(京都市中京区で)=吉野拓也撮影
      「着物業界を盛り上げたい」と語る原巨樹さん(京都市中京区で)=吉野拓也撮影

     

     「着物全体の雰囲気を引き締めたい」

     京友禅の販売を手がける「京ごふく 二十八ふたや」社長、原巨樹が注文すると、着物に金銀加工を施す友禅の金彩職人が「じゃあ、菊の花柄は、金箔きんぱくで縁をくくろう」と応じた。

     販売店と職人の間ではよくあるやり取りに見えるが、着物の世界では実は、珍しい光景だ。職人の間を行き来する専門業者、産地問屋、問屋など呉服店に届くまで、何層もの流通経路を経ることが多いからだ。

     二十八は、職人と直接やり取りすることで、問屋などに支払う費用を減らし、高品質のオーダーメイド品を平均30万円で販売する。原が足しげく通って築いた職人との緊密な関係が強みだ。

     原は元海上自衛隊の幹部自衛官。初の遠洋航海での経験が、転身のきっかけとなった。

     寄港したトリニダード・トバゴで住民に道を尋ねると、「あちらです、サー」と敬称をつけて返事をされたのだ。「日本では制服で歩くと、笑われるのになぜ」と一瞬、とまどったが、制服姿に敬意を表してもらったと気づいた。

     民族衣装をまとって誇らしげな人々の姿にもカルチャーショックを受けた。

     この二つの経験から、「制服は着る人のルーツを示し、誇りでもある。日本人の制服である着物をもっと広げたい」と考えるようになった。

     帰国し着物を買いに出かけた。趣味で集めていた陶磁器の柄に似た着物を求めたところ、店員は知識があやふやで、「俺の方が詳しくなれる」と思い立った。

     目を付けたのは京友禅。購入者の要望に合わせた図案を施した「一点物」が作りやすく、「どこにもない商品を提案できれば、老舗とも戦える」と考えた。

     京都市内の職人を訪ねると、「最近は老舗も訪ねてこないのに」と歓迎された。何度も足を運び、職人の得意な技術をつかんだ。ぼんやりした顧客の要望を具体的な案に落とし込み、最もふさわしい職人に発注した。

     職人がゼロから作る特別感を売りに、顧客は創業時の120人から200人にまで増えた。

     「着物への情熱は日本一。俺が着物文化を守る」。鼻息荒く業界を駆け回る。(敬称略、鷲尾龍一) 

     

     原巨樹(はら・なおき) 1980年、大分市生まれ。「社会人になる前に自らを鍛えたい」と防衛大学校に入学し、2003年、海上自衛隊に。退官後、不動産会社、呉服店勤務を経て、14年に創業した。「5月28日」の会社の設立登記日が社名の由来。5月29日が「ごふくの日」で、27日が旧海軍記念日だったことから登記日を決めた。

    2016年11月16日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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