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    留学必修広がる将来 近畿大国際学部

    • 留学生活を振り返り、今後の目標などを語り合う5人(6日、大阪府東大阪市の近畿大で)=浜井孝幸撮影
      留学生活を振り返り、今後の目標などを語り合う5人(6日、大阪府東大阪市の近畿大で)=浜井孝幸撮影

     ◇TOEIC890点■海外で仕事の夢■国際問題学びたい

     

     海外留学を必修とする大学が増えている。近畿大が昨春開設した国際学部(大阪府東大阪市)では、1年生後期から約1年間の留学が必修で、1期生約530人が今夏までに帰国した。学生たちはどのように過ごし、何を得たのか。米国留学を終えた5人に聞いた。(生活教育部 宮原洋)

     

     ――留学した当初、何に最も苦労したか。

     田村 昨年9月に日本をたち、ホームステイ先からセント・トーマス大(ミネソタ州)付設の語学学校に通った。海外に行くのは初めて。授業のスピードが速く、各国の留学生が英語で活発に話すので、圧倒された。

     三原 オハイオ・ドミニカン大(オハイオ州)の寮で暮らしながら語学学校で学んだ。4人クラスで、日本人は僕だけ。トルコ人やリビア人の学生は思ったことをぽんぽん言葉にする。考えている間に次の話題に進むから、もやもやが残った。

     吉貞 内気な性格を変えたいこともあって留学した。ニューヨーク州立大ブロックポート校付設の語学学校では、聞く力も話す力もなくて、最初の2か月は精神的にきつかった。

     千足 私も、フェアリー・ディキンソン大付設の語学学校(ニュージャージー州)の授業で、最初は発言できなかった。

     土井 僕はストックトン大付設の語学学校(同)で発言できなくて、1か月に1度ある進級審査で落ちちゃって。すごくショックで、日本の友達に「もう帰りたい」と電話した。

     ――どう乗り越えたのか。

     土井 2、3か月たった頃、語学学校の先生が放課後、ストックトン大の授業に連れて行ってくれた。みんなすごく発言するけど外れたことも言ってて、僕も気にしないで話せばいいのかな、と思えた。

     千足 話題と外れた発言があっても、周りの学生は「違うよ」とか言わず、カバーしてくれる。私も「間違えてもいいや」と思って、話せるようになった。日本だと、みんな黙り込むから、自分だけ言いにくい雰囲気になる。米国は、日本より話しやすい環境かもしれない。

     吉貞 私は、時事ニュースをテーマにした討論の練習で、ペアになった学生から、「あなたも何かしゃべれば?」と言われて。悔しくて、火が付いた。ホームステイ先の家族が英会話の練習相手になってくれた。

     田村 ホストファミリーの息子さんが同い年でどんどん話しかけてくれて、答えられないのが申し訳なくて話すようになった。いとことも友達になった。

     三原 寮には近大生もいたけど、別の国の学生と英語で話すようにした。授業でも頭に浮かんだことをとにかく発言した。

     ――留学で得たものと、これからの目標を。

     三原 帰国後に受けたTOEIC(リスニング・リーディング)の点数が、留学前の650点から890点に上がった。今はもっと速く読めるように、海外ニュースを英語で読んでいる。その国の歴史や文化にも興味が湧き、自分で調べるようになった。国際貢献にも関心がある。

     土井 TOEICは高校生の頃から受けてきたけど、留学後、200点ぐらい上がった。将来のことは決めてないけど、NGOなどに所属して、様々な国に行って活動したい。

     千足 1年生から留学したことで、英語のスキル(技術)をぐっと高めた上で、何をするかじっくり考えられる。将来は海外で仕事をするのが理想。

     田村 私は国際問題を学ぶつもり。機会があれば、インターンシップ(就業体験)で米国に行き、どんな仕事があるのか、のぞいてみたい。

     吉貞 米国のホームレスや人種問題に関心を持ったので、まずは海外の社会問題を扱うゼミに入って勉強する。(敬称略)

    • クレイグ・バージル国際部長(近畿大提供)
      クレイグ・バージル国際部長(近畿大提供)

     ◇異文化に触れ真剣な姿勢 バージル学部長

     近畿大国際学部は語学教育のベルリッツコーポレーションと連携。グローバル専攻の学生が米国に、東アジア専攻の学生が中国、台湾、韓国に留学する。

     グローバル専攻の1期生475人は、米国の27大学で付設の語学学校のプログラムを受講。一定水準に達すると大学に正規留学もできる。

     留学前の昨年7月と、帰国後の今年7月に、英語試験TOEICを受験したところ、平均点は「リスニング・リーディング(聞く・読む)」(990点満点)が469点から700点に上昇。「スピーキング・ライティング(話す・書く)」(400点満点)は、211点から259点に上がった。

     クレイグ・バージル学部長=写真=は「予想を上回る成績。異文化に触れたことで人間的に成長し、学ぶ姿勢が真剣になった」と、手応えを語る。帰国後は、ベルリッツのビジネス英語習得プログラムや英語での専門教育を行う。「英語を聞く、話すという基本的な力はついたので、今後は読む力と、さらに書く力を伸ばしたい。そうすることで、卒業後の様々な業種への就職につながるはずだ」

     ◇15年度8.4万人短期が8割

     国際関連の学部で海外留学を必修とする例が目立つ。関西学院大が2010年度に設置した国際学部(兵庫県西宮市、定員300人)は、2年生で約1か月~1年間の留学プログラムのいずれかへの参加が卒業要件だ。11年度開設の同志社大グローバル・コミュニケーション学部(京都府京田辺市、定員158人)は英語、中国語両コースで2年生から1年間留学する。

     日本学生支援機構によると、15年度の留学生は約8万4000人。増加しているものの、留学期間は6か月未満が8割を占める。一方、総務省が7月に公表した海外進出企業980社への調査では、採用したい学生の理想の留学期間を「1年以上」「6か月以上」とした企業が8割に上った。企業側は語学力や異文化理解力のある人材を求めており、留学必修の学部は今後も学生らの支持を集めそうだ。

     

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    2017年10月22日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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