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ゲーム機 思わぬ悪意と・・・

 朝夕冷え込むと、外に出るのがおっくうです。そんなものぐさな私も、子供のときは冬も半ズボンで屋外を走り回っておりました。当時大ブームを迎えた家庭用ゲーム機は我が家にはなく、外で遊ぶしかなかった、という事情もあり――。

 そんなことを思い出したのは、大阪府高槻市の優子さん(39)(仮名)から〈11月の娘の誕生日に携帯ゲーム機をプレゼントしました〉とメールをいただいたからです。

 〈娘は小学5年生。入学した頃から「みんな持っているから私も欲しい」とねだられていたのですが、「ゲームばかりするからあかん」と、買わずにいました。生身の人間関係をいっぱい体験して、人の気持ちを思いやれる子になって欲しくて。私が仕事をしており、家族でおしゃべりできる夜の時間を大切にしたいとの思いもありました〉

 長らく辛抱させてきたのも親心というわけです。やっとゲーム機を手にした娘さんは、「宿題を済ませてから」「1日30分まで」「寝る前に目の体操をする」という約束を守っているそうです。えらい。

 でも、思わぬところで問題が発生しました。このゲーム機には、「すれちがい通信」という機能があります。電源を切らずに持ち歩くと、街などで同じ機種を持つ人とすれ違ったとき、ゲーム機同士が無線で交信し、自動的にメッセージを交換できるのです。

 〈娘は外出時に持ち歩き、「今日は何人とすれ違った」「京都の人もおってんで」と喜んでいました。休みの日に一緒に大阪市内まで買い物に行ったときのことです。この日も5人ぐらいとすれ違ったのですが、最後の一人のコメントが、「しねしねしね……」と書かれていたのです。娘も、一緒に画面を見ていた私もびっくりしました〉

 なんと。ショックですね。

 〈たまたま私が一緒のときでしたが、一人で見ていたらと思うと……。自分が誰かわからないからと相手が不快に思うことをする人もいる、という話をしました。娘は、すれちがい通信はもうしないと思ったようです〉

 ゲーム機が来てわずか3日目。娘さんは、〈生身の人間関係をいっぱい体験して〉という優子さんの願いとは全く違う形で、むき出しの悪意に出会ってしまいました。

 〈「嫌な目に遭っても、仕返しとかしたらあかんで」と諭しました。いい勉強になったと今は思っています〉と、優子さんは書いています。

 便りを読んで、考え込みました。私の息子はもうすぐ5歳。間違いなく、半ズボンで走り回った親とは違う遊びに出会うでしょう。まだゲーム機には関心がないようですが、今のうちに、我が家の方針を考えておこうと思いました。(増田弘輔)

2012年12月2日  読売新聞)
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