(4)頂への道 見すえて
男子ハンマー投げ 室伏広治 32(ミズノ)
2001年世界陸上エドモントン(カナダ)大会で銀メダル、03年パリ大会は銅。大阪で金メダルを獲得すれば、世界選手権ですべての色のメダルをそろえる日本初の選手になる。「見に来て良かった、と思われる投てきをしたい」。ニッポンの期待を、正面から受け止めている。
05年は体調不良のため、1試合出場に終わったが、それでもアテネ五輪以降、無敗。昨年は8戦すべて制した。一試合ずつ、そして一投一投が復調を強烈に印象づけた。「去年は、テストのつもりだったけど、やっぱり、勝つのはうれしい」。理想のハンマー投げは未完成、という。しかし、進むべき頂への道はしっかりと見えている。
6月末、日本選手権を圧巻のV13で飾り、順当に代表入りを決めた。直後の7月中旬、高まり始めた期待の熱を肌で感じながら、米国へ渡った。1か月後に帰ってきた室伏が言った。「ある程度、きつい練習はできた。あとは調整だけ。母国でこんな機会を迎えられることは、そうはない」
15歳で本格的にハンマーと向き合った少年は、周囲を驚かせ続けてきた。7年前、日本選手として初めて「80メートル」を突破、超一流選手への地歩を固めたのは、この大阪・長居陸上競技場。再び栄光の軌跡を彩る舞台となるか。「アスリートは、一度グラウンドに降りたら一人きり。だれも逃げ出すことはできない」。戦いの瞬間を静かに待つ。(新宮広万、おわり)
(2007年8月24日 読売新聞)