朝原「出力なかった」、前日の10秒1台連発が負担に
世界陸上競技選手権大阪大会(26日)――朝原のスタートはまずまずだった。走りの感覚も悪くなかった。しかし、中盤以降伸びない。パウエルがぐんぐんと加速していくのに、ついていけない。後続の選手にも逆転された。「動きは良かったが、出力がなかった」。天を仰いだ。
過去の世界陸上でも3度準決勝に挑み、苦汁をなめていた。その時は、独特の雰囲気に負けていた。
スプリンターにとって決勝進出は夢だ。スタート前の選手たちは闘志をむき出しにし、異様な緊張感が漂う。しかも勝負はわずか10秒。気後れしても、気負っても好結果は出ない。雰囲気にのまれ、スタート失敗などのミスを犯した。
4度目の準決勝となる今回、苦い経験が生きた。ウオーミングアップも快調だった。「スタート前も冷静に考えることができた」
ただ、この日は体がいうことをきかなかった。前日の1次、2次予選で10秒1台を連発したことが、6月に35歳になった肉体にとって、想像以上に負担となっていた。「疲労かな」。ポツリと漏らした。
それでも、朝原に向けられた観衆の拍手は勝者よりも大きかった。地元開催の世界陸上という大舞台で、日本人が百メートル決勝に進出するという夢が、あと少しでかなうことを示した走りは見事だった。(霜田聖)
(2007年8月26日23時26分 読売新聞)