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つらくても、同情してもらいにくいキャラ…今陽子さん(最終回)

「幸せな60代を迎えることができた」と振り返る今陽子さん=高梨義之撮影

 「45年はひと口で語れないんですけど」と言いながら、2時間45分、東京・目黒にあるホリプロの事務所で一気に語っていただいた内容をまとめたのがこの連載だ。とにかく、明るく前向きで、元気。今さんの口を通して聞くと、四苦八苦していた時期の話もあまり暗く聞こえないのが不思議だ。最後に、この時にお聞きした話をいくつかアラカルトで紹介する。

 ――つらかった話も、今さんのお話を聞いていると、つらそうに聞こえませんね。

 「私、舞台の初日とかは、アガってしまって、膝がガクガクする感じなんですけど、周りから見ると、『あなた心臓に毛が生えているでしょう』って言われちゃう人なんです。アッコ(和田アキ子)さんは震えるんですよ。だからみんな、アガっているのがわかるんですけど、私は顔や体に出ません。それと同じなんですが、本当に明日どうやって生きていこう、朝をどうやって迎えようかって悩んだことだってあるんです。仕事が激減して、生活していけない時があったとか、『お願いだから仕事とってきて、お願い』ってマネジャーに泣きつくことが、いまだにあるんですよ。でもね。なんかこの性格や顔つきから、『うっそー』って言われちゃうんです。なんだか、同情してもらえないんです。まあ、幸せな60代を迎えることはできましたけど」

 ――健康のために心がけていることはありますか?

 「歩くこと。ニューヨークから帰ってきてからは、タクシーはなるべく使わないで、地下鉄を使います。荷物があっても若い人に助けてもらって、移動は地下鉄です。PASMO(パスモ)を持ってますから。ベンツで運転手を雇っていた時期もありましたけど、私は運転免許を持っていないし、車はお金かかりますし。地下鉄は、時間が正確。携帯には時刻表も出ますから私は仕事には絶対遅れません。初めてのスタジオも、ネットで調べて現地集合です」

 ――お酒はお好きだそうですね?

 「お酒は、昔から。アッコさんと、亡くなられましたけど女優の太地喜和子さんと私は、芸能界の酒豪番付に載ってましたよ。なんでも飲みました。今は芋焼酎とバーボンです。焼酎はロック。時間帯やメンツによりますけど、ニューヨークに行ったら、バーボンですね」

男運は悪いのかもしれない

「新しいアルバムを、一人でも多くの人に聴いてもらいたい」=高梨義之撮影

 ――男性とのお付き合いは?

 「貯金をはたいてニューヨークにいた時も、恋人がお金持ちだったので援助してくれました。でも、その恋人も心臓の病気で死んじゃいました。恵まれてるけど、ある意味では、男運は悪いのかもしれないですね。いつも助けてくれる人が出てくるんですが、私が生命力を奪っちゃうのかな。なんかね。私を応援してくれる男性って、病気になったりして。だから、恐れをなして、私の恋人にはなりたくないのかしら(笑)。でも、男友達には恵まれています」

 ――最近の生活は。

 「今は母と暮らしています。3年前に父が亡くなって、お父さん子だったのでこの3年寂しかった。母はもっと寂しいだろうと思って、一緒に住むようになりました。仕事で遠くへ旅行する時も、母を連れて行ってあげます。仕事の前後に温泉に泊まったりして。なるべく母を気遣って。84歳ですけど、そうは見えません。超元気です。あの母あって、この娘ありです。母も、どんなに生活に困っても、父にどんなことがあっても、『大丈夫、大丈夫』って言っていた人です。明るさとか、健康とか、親からもらった財産ですね。健康じゃないと、暗い考えになるじゃないですか。もし、底辺まできたなら、これ以上、下はないから頑張ろうって。そういう時、健康で明るいっていうのはトクですよね。それで自身も救われているしね」

 ――座右の銘のようなものはありますか?

 「特にはありませんけど、努力ってことが好きですね。努力と、いつも何か目標とか夢を持つことですね。その時々の目指したいところ、ここへ行きたいなっていう。そこへ向かって努力する。今の夢は、新しいアルバムを、一人でも多くの人に聴いてもらいたいということ。それが、身近な目標です」

 今さんの新しいアルバム「Love Seasons 〜恋の季節たち〜」を聴いてみました。あの印象的なイントロで始まるピンキーとキラーズの「恋の季節」とは全く異なる雰囲気。昔と比べて僕は今の歌の方がフィットした感じがします。「見上げてごらん夜の星を」は、改めて一緒に口ずさみたくなる名曲だなと感じ入りました。これら日本語のラインアップも心地いいけれど、「Over the Rainbow」のようなスタンダードも聴き応え十分。冬の夜の楽しみに、今さん、そして僕たちが過ごした日々を振り返りつつ聴きたいアルバムです。

 (読売新聞 渡辺勝敏)

 今陽子さんは今回で終わり、次は、南こうせつさんです。

◆今陽子さんの写真特集はこちら

 同窓会コンサート

プロフィール
今陽子さん
1951年11月1日生まれ、愛知県東海市出身。1968年、「ピンキーとキラーズ」で歌った「恋の季節」が大ヒット。1972年にソロになり、現在もミュージカルや演劇の女優、歌手として活動する。2011年11月、28年ぶりの新作CD「Love Seasons 〜恋の季節たち〜」を発表した。
2011年12月28日  読売新聞)


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(2012年5月22日)[全文へ]

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