フリーゲージトレイン、北陸と大阪結ぶルートでも導入案

2025年度完成予定の北陸新幹線金沢―敦賀(福井県)開業に合わせ、新幹線と在来線双方の線路を走れる軌間可変電車(フリーゲージトレイン、FGT)を北陸と大阪を結ぶルートでも導入する案が浮上している。
導入されると、敦賀駅で乗り換えの必要がなくなる一方、敦賀以西の新幹線延伸が白紙となる可能性もあり、沿線自治体の受け止め方も複雑だ。
金沢―敦賀で新幹線が開通すれば、在来線は沿線各県が出資する第3セクターが運営する区間と、JRが運営する区間で、敦賀駅を境に経営主体が分かれる方向。北陸と大阪を結ぶ「サンダーバード」など在来線特急はなくなる見込みで、利便性低下が懸念されている。
FGT案は、国土交通省の交通政策審議会整備新幹線小委員会で浮上した。国交省はサンダーバードが走る富山―大阪駅間でFGTを導入した際のJR西日本の収支を試算した結果、敦賀駅ホームで在来線と新幹線を乗り換えた場合の収支試算より年間で約20億円上回ると報告した。
富山―大阪駅間で導入された場合、FGTは敦賀まで新幹線の線路を走り、以降は在来線のJR湖西線を走ることになる。敦賀駅で車両の軌間を在来線用に変える時間と、乗り換えに要する時間はいずれも3分程度で大差はないとされ、乗客は移動の労力がなくなる。
ただ、「東海道新幹線の代替補完機能」を掲げ、北陸3県が悲願としてきた新幹線の大阪延伸にはマイナスとなる可能性もある。
敦賀以西について、政府は1973年、新幹線整備計画で福井県小浜市、京都府を経由する「小浜ルート」を掲げている。その後、財源難から認可・着工の見通しは立っていない。福井県新幹線建設推進課は「嶺南地方(敦賀より南)の自治体からはFGTを導入すると、『小浜ルート』が消えると不安視する声もある」と話す。
石川県では延伸ルートについて、名古屋に近く、中京圏の誘客も見込める「米原(滋賀県)経由が最適」とする声が根強い。加賀市の寺前秀一市長は「米原ルートが実現しなければ、中京圏の誘客に結びつかない。敦賀までの新幹線開通効果も半減してしまう」と唱える。
一方、米原経由が採用された場合、新幹線の沿線自治体となる滋賀県の嘉田由紀子知事は「建設費の地元負担など大きな課題があり、北陸新幹線を積極的に誘致する考えはない」として、延伸に難色を示している。
国交省は金沢―敦賀間着工が正式に認可される3月末までに小委員会を重ね、FGTの採算性などを検討する方針だが、沿線自治体ではそれぞれの思惑が複雑に絡み、導入には曲折も予想される。(多可政史、益田耕平)
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