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111108湯めぐり

熱くて濃い外湯ざんまい…野沢温泉

スタンプラリーにのせられて

 人生の隠し湯を求めて「湯めぐり ひなび旅」、今回は長野県の野沢温泉のご紹介です。

 この秋はなりわいに(いそ)しむあまり、湯めぐりをご無沙汰してしまいました。家にいるときはシャワーですませることが多いので、温泉や銭湯に出かけないと、そもそも湯船に入ることすらなく……。たまには湯につかり、からだの奥底から愉悦の声をあげねばと思うものの、なかなか果たせないでいます。

 こういった日々が長く続くと、不思議と熱い湯をたくさんこなしたくなります。正統派の外湯めぐり−−たとえば今回ご紹介する野沢温泉。長野の北部、火山・毛無山のふもとに広がる湯の里へまいります。

 もう6年前の秋、ひとつの宿に陣どって、あちこちの共同湯を訪ねました。野沢の熱く濃い湯は、なかなか入りにくかったのですが、観光協会がやっている外湯スタンプラリー「集印めぐり」にのせられて、あちこちの湯に「えい、ままよ」と入るにつれ、次第に慣れ、ザブンザブンとかせぎまくりました。後にも先にも、熱く濃い湯にこれほどつかりまくったことはありません。

旅ごころくすぐる十二神将

 野沢には13の外湯があり、観光客に開放されています。それぞれの外湯は周辺の地域の皆さんが「湯仲間」という制度を作って管理されています。入浴時にはぜひ寸志を……!

 源泉は30ほどもあり、おおむね弱アルカリ性の天然温泉。各外湯は湯温、pHもまちまちで、その個性を信仰に結びつけ、中心的存在の外湯「大湯」には薬師如来を、その他の12の外湯に十二神将を1体ずつおまつりしてあります。このあたりが実に旅ごころをくすぐるギミックなのです。

 このときは、いわばベースキャンプを決めて、そこを足場に外湯めぐりをする定着式合宿。ベースになる宿のお湯にもこだわりたいもの。野沢の象徴、麻釜(おがま)にほど近い住吉屋さんに連泊しました。この宿の湯(自家源泉)なら飽きのこない感じで、上がり湯がわりにくつろげると考えたのでした。

 ここで麻釜の解説をすこし。とりわけ高温な源泉をまず湯だまりにして、湯けむりがもうもうとあがるなか、山菜や野菜を()でています。刈り取った麻を軟らかくするのに使ったことからこの名があるそうです。近所のおばちゃんたちが世話ばなしをしたり、のんびりとした風情があります。

 さて、旅装を解き浴衣に着替えたら、下駄を鳴らして外湯めぐりに出発です。


奇勝、麻釜は湯温90度。ここでゆでた野菜をいただく

野沢温泉外湯のフラッグシップ「大湯」

建て替えられる前の「真湯」。湯治客が絶えない

街角にはほこらがあって十二神将をまつってある

 

2011年11月8日  読売新聞)


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(2012年5月22日)[全文へ]

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